2021 Fiscal Year Research-status Report
Optimization of dynamic LED lighting space by dimming and toning control
Project/Area Number |
20K04813
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
望月 悦子 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (80458629)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LED照明 / 調光 / 調色 / 照明制御 / duv |
Outline of Annual Research Achievements |
調光・調色制御が一般的になりつつある照明空間において、LED照明の制御過程で生じる照明光の色度の黒体軌跡からずれduvが空間の色の見えや雰囲気に与える影響を明らかにすることが本研究の目的である。 2021年度は、壁・床に同じ無彩色の内装材を用いた均一輝度分布の模型を用いて、照明光の色度の黒体軌跡からのずれduvが空間内の光の色味と空間の明るさ知覚に与える影響を被験者実験により検証した。相関色温度4条件(2700K,3400K,4600K,7000K)とduv5条件(-0.02,-0.01,0.00,+0.01,+0.02)の組合せに対し、照度3条件(220lx,440lx,880lx)を組み合わせた計60条件を評価した。その結果、照明光の色味は、照明光のduvがマイナス側に変化すると、7000K以外の条件で“赤みがかっている”側に評価された。duvがプラス側に変化した場合は“緑みがかっている”側に評価された。空間の明るさ知覚は、照度440lx、880lxの条件では、照明光のduvがプラス側に変化した場合、3400K以上の条件で有意に低下する傾向が確認された。 また、実空間により近い実験条件として、壁・床の内装材の反射率が異なる、空間内の輝度分布が不均一な模型でも、同様に実験を行った。照明条件は均一輝度分布の場合と同じ60条件で、模型内装面の反射率は均一2条件(反射率91%、61%)、不均一2条件(平均反射率約60%、壁81%-床28%、壁74%-床38%)の計4条件を組み合わせた全240条件を評価した。その結果、床面中央の照度220lx設定の条件で、duvがマイナス側に変化した場合、空間の明るさ知覚が上昇した一方で、 810lxで相関色温度が高い条件では、duvがプラス側に変化した直後に、空間の明るさ知覚は有意に低下し、内装材の反射率が均一な場合と類似の傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナ禍の影響もあり、照度は1条件で、照明光の相関色温度4条件、黒体軌跡からの色度のずれduv5条件を組み合わせた20条件についてしか実験を行うことができなかった。2021年度には、照度2条件を追加して、全60条件の実験を行うことができた。これらの実験データを全てまとめて、内装材の反射率が均一な場合に、照明光の色度の黒体軌跡からのずれduvが空間の明るさ知覚に与える影響として、有審査論文をまとめることができた。 また、内装材の反射率が不均一な場合について、内装材の反射率が均一な場合に実施した照明60条件と同様に条件を設定して実験を行った(内装材の反射率は均一な場合2条件、不均一な場合2条件の計4条件に設定)。これにより、内装材の反射率の違いも考慮した上で、照明光の色度の黒体軌跡からのずれduvが空間の明るさ知覚に与える影響を検証することができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度と2021年度は、天井全体が発光面で、一様な壁・床面のみで構成される単純な模型空間を用いて、空間の明るさ知覚、空間内の光の色味知覚を評価した。しかし、実際の空間は、多種の内装材、より複雑な空間構成となっているのが一般的である。しかし、空間全体の色味の印象を決定づける要因、評価構造については明らかでない。 2022年度は、空間全体の色構成と色味の印象の関係を明らかにしていく。既に、住宅写真を用いた評価実験は行っており、画像に含まれる色度の範囲が広い場合は、画像全体に含まれる色度の平均に近い色が全体の色味の印象となることが示されている。しかし、色味の印象判定には個人差も大きかった。空間全体の色味の印象判定の個人差の検討、空間内の色度分布・分散の程度が色味の判断に与える影響について検討すると共に、実空間での検証も行う。
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Causes of Carryover |
2021年度に参加予定であった国際学会がオンライン開催となったため、旅費を使用しなくなったことから、次年度使用額が生じた。 追加実験にかかる被験者謝金、実験補助アルバイト代、論文投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)