2022 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊細菌数とエンドトキシン量に基づく室内のグラム陰性細菌曝露リスクの把握
Project/Area Number |
20K04822
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
石松 維世 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (40289591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エンドトキシン濃度 / 浮遊細菌数濃度 / PM2.5 / 総粉じん |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も室内2箇所(会議室と実験室)と屋外で、総粉じんとPM2.5の捕集を4週間に1回実施し(3月~11月)、エンドトキシン(ET)濃度と細菌数濃度を測定した。総粉じん中の細菌数濃度とET濃度のI/O(In/Out)比は1を超えなかったが、PM2.5では3月、10月~11月に1を超えることがあった。I/O比>1は室内に発生源があるとされ、時期により室内に微小粒子のET発生源があることが示唆されたが、浮遊細菌とETの発生源は概ね室内にはないと考えられた。細菌数濃度は室内と屋外との関係性が低かったが、ET濃度は正の相関性が見られた。これより、室内のET濃度は屋外の影響が強いが、細菌数濃度では明確でなく、その理由としてI/O比に影響するほどではないが室内でのグラム陽性細菌の発生が考えられた。 ETはグラム陰性細菌の指標と考えられ、浮遊粒子中のET量は健康リスクの有無につながる。ETと浮遊細菌数の濃度を調べれば、浮遊細菌中のグラム陰性細菌集団の動向を調べることができると考える。研究計画では、①捕集方法の見直し②総粉じん中とPM2.5中の浮遊細菌数濃度とET濃度の関係性③浮遊細菌数濃度とET濃度を健康リスクの評価に資することを目的とした。その結果、本研究により以下の結果が得られた。 ①研究協力者が開発した直進型PM2.5捕集サイクロンは、衝突型とほぼ同等の性能であったが、捕集量の著しい増加は見られなかった。 ②浮遊細菌数濃度とET濃度間の相関性は季節により異なっており、浮遊細菌叢には季節変動があることが推察された。 ③ET濃度は、PM2.5よりも総粉じん中で高く、室内濃度はDECOS(Dutch expert Committee on Occupational Safety)によるTLV-TWA値90 EU/m3をはるかに下回り、ETの健康リスクは低いと考えられた。
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