2021 Fiscal Year Research-status Report
軽量小型かつ堅牢なセンサーによる吸音率測定精度の向上
Project/Area Number |
20K04823
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
星 和磨 日本大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50373171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 則子 大分大学, 理工学部, 准教授 (00452912)
富来 礼次 大分大学, 理工学部, 教授 (20420648)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カーディオイドマイクロホン / 吸音率 / 音響管 / 音圧 / 粒子速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から,カーディオイドマイクロホンは音圧と粒子速度,2つの物理量が混合されたものが測定されると考えるのが合理的であることがわかってきた。この考えに基づけば,カーディオイドマイクロホンを用いて現場に施工されている材料の吸音率を測定するためには,カーディオイドマイクロホンが捉える音圧と粒子速度それぞれの複素振幅を既知としておかなくてはならない。 しかし,この複素振幅を測定することは容易ではないため,まずは,音圧と粒子速度の複素比を測定することにした。 この音圧と粒子速度の複素比を捉えることができれば,一本のカーディオイドマイクロホンと音響管を用いて,音響材料の垂直入射吸音率の測定が可能となる。 そこで,2本の長さが異なる音響管を合成木材であるMDF板で作成した。また,同種の3本のカーディオイドマイクロホンを用意した。これらを利用して,カーディオイドマイクロホンが持つ音圧と粒子速度の複素比を測定した。その結果,音響管の長さによらず,カーディオイドマイクロホン固有の音圧と粒子速度の複素比を測定できることがわかった。また,3本のカーディオイドマイクロホンはそれぞれ固有の複素比を持つことがわかった。 この複素比を用いて吸音材の一つであるグラスウールの垂直入射吸音率を測定し,JIS A 1405-2に準拠した測定による結果と比較した。その結果,複素比を用いずに求めた吸音率はJISによる測定結果から大きく乖離するが,複素比を用いると吸音率の差は0.05以下に収まった。このことから,カーディオイドマイクロホンが固有に持つ音圧と粒子速度の複素比が正しく測定できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本大学,大分大学,それぞれで測定精度の向上に関する研究を推進しているが,新型コロナウイルス感染症対策のため,共同実験が実施できず,研究の一翼を担う部分の進捗に後れをきたしているため,「やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,カーディオイドマイクロホンが捉える音圧と粒子速度それぞれの複素振幅を捉える実験を実施する。実施に際し,これまで製作した木製の音響管に加え,円形の断面を持つアルミ製の音響管も利用する。 また,国内の移動も可能となってきたので,開発中のマイクロホンと既存センサ(全指向性マイクロホン2本,音圧粒子速度センサの2種)とを比較する実験を大分大学の研究チームと実施する。
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Causes of Carryover |
大分大学との共同実験のために要していた旅費が未使用のため,次年度に繰り越すことにした。2022年度に共同実験を実施予定である。
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Research Products
(4 results)