2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on an analysis method for fire behavior using Deep Learning
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20K04825
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
岩見 達也 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 上席研究員 (20370744)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 深層学習 / 糸魚川 / 大規模火災 / 火災域 / 煙 / YOLO / 認識精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では深層学習の手法を応用して、映像記録から火災・火炎の位置を特定し、燃焼状況(発熱速度や火炎形状等)を正確・迅速に検出・解析する技術の開発を目的として研究を実施する。 深層学習の精度を確保する上で学習データの準備が極めて重要で不可欠であることから、2020年度は火災実験映像・画像及びWeb検索で得られた画像約500枚を収集して、学習データの生成を行った。学習データの分類クラスは火炎、火災、煙、焼痕の4クラスとした。元画像に対して±15度及び±30度回転投影した画像を複製することにより、焼痕クラスを除く火炎、火災、煙の3クラスに関してはそれぞれ2000程度の教師データが得られた。焼痕クラスは110の教師データが得られた。 学習モデルとしてYOLOv5を採用してこれらの教師画像を用いた学習を行い、2016年12月に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災の延焼中に撮影された映像を対象に火災等の検出を行った。対象とした映像は火災の被害地域を中心に旋回しながら撮影したヘリ映像であるため大部分に火災、火炎、煙が映っているため精度が高くなりやすい素材ではあるものの、適合率、再現率ともに良好な学習精度が得られた。また、検出時の処理速度は一般的なスペックのノート型PC で約2~3fps でありリアルタイム処理にも実用的な速度が得られた。 また、同様のモデルを火災実験時に撮影した計測映像に適用して火炎形状の解析を試行した結果、概ねの火炎形状の取得が可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では数百枚規模の教師データ作成と単純な学習モデルの試作及び試行を計画していたが、2000枚超の教師データを整備した。教師データ整備に際してはまず検出対象となるクラスの検討を行った。通常は個々の境界が明確な物体を検出対象とするが、火災は単体建築物の火災もあれば複数棟の火災もあり、また、1棟の火災であっても複数の開口部から火炎が噴出している場合などもあり得るため、境界を一意に求めることが困難という特徴がある。本検討では様々な形態の火災に対応できることを期待して単一の火炎を表す「火炎」とその集合である「火災」を設定した。その他「煙」及び「焼痕」クラスを加えた計4クラスを設定した。 計画を上回る教師データを整備できたことに伴って、単純な学習モデルではなく、汎用性のあるモデルを採用することが可能となることが予想されたことから、整備した教師データに基づいて、既往の公開された学習モデルを採用して検討を行った。その結果、実際の市街地火災の映像に対して高い検出精度が得られることを確認した。 また、火災実験時に撮影した計測映像に適用して火炎形状の解析を試行した。その結果、画像中の概ねの火炎の領域が取得できることを確認した。また、得られた火炎領域に基づいて、火炎形状(火炎高さ、火炎幅)及び発熱速度に関する推定方法の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
教師データ整備に関しては、今後も継続して火災画像の収集を進めるとともに、火災実験映像から教師データを作成し、データの拡張を行う。 学習モデルに関しては、2020年度に採用したモデル以外の適用可能性についても検討を行い、処理速度を維持したままより精度の高いモデルの検討を実施する。 火災性状解析手法の開発に関しては、火炎形状及び発熱速度の推定精度の検証を行う。また、入力映像に基づいて、火災の検出から火炎形状・発熱速度の推定までを自動的に行う火災性状解析プログラムの試作を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度及び2021年度ともに学習データ整理と火災性状解析プログラムの設計・開発を並行して実施する計画としていたが、2020年度は学習データ整理を集中的に実施し、これに基づく検討を踏まえて2021年度にプログラム設計開発を実施する方針とした。このため2020年度に予定していたプログラム設計開発分の助成金は2021年度分を合算してプログラム設計開発に充てる計画とした。 また、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、消防本部との映像借用に関する調整が進まなかったことから、打ち合わせ旅費としての支出が無かった。当該打ち合わせは2021年度に延期して実施する計画とした。
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Research Products
(2 results)