2021 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental research on transmission dynamics of influenza virus in indoor environment
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20K04826
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
嶋崎 典子 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (80466193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 淳子 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 副医長 (10704710)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | COVID-19 / COVID-19 / ウイルス変異 / 中和抗体 / ウイルス伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病室等の室内環境における、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス伝播動態の解明に向けた基盤研究を行うことを目的とする。 インフルエンザについては、2021年度も2020年度に引き続き、日本国内では殆ど流行しなかったため、ある室内環境において、過去に発生したインフルエンザワクチン接種者のブレイクスルー感染の検体と環境情報を入手し、分析を進めた。診断2日以内の鼻水検体について、PCRでウイルス亜型や系統を同定した。また検体をMDCK細胞に接種してウイルスを分離し、感染者の感染前後の血清について、ワクチン株と分離株に対するHI抗体価を比較した。中和抗体価については測定中であり、環境情報とあわせてブレイクスルー感染の影響因子を考察していく予定である。 COVID-19については、2021年10月の時点で国民の約8割が2回目ワクチン接種を終え、中和抗体をもつと思われる人が多数を占める環境であったが、遺伝子変異による抗原性が変化した株(デルタ株やオミクロン株)の出現により、病院や介護施設などでのブレイクスルー感染の報告が多数されていた。そのため本研究では、複数の施設において、ワクチン接種した職員の血清について、ワクチン株と変異株に対する中和抗体価を調べ、実態把握を試みた。新型コロナウイルスに対する中和抗体価の測定はBSL3で実施した。また、ワクチン接種者でブレイクスルー感染した人の唾液検体あるいは鼻水検体について、遺伝子解析を進めている。 上記の検体の採取や解析を進めるにあたっては、ヒト倫理審査の承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度からCOVID-19も研究対象に含めて研究を進める計画に変更し、ワクチン接種者の中和抗体把握、ブレイクスルー感染事例やウイルス変異株などの分析を進めることが出来ている。また過去の事例ではあるが、インフルエンザ感染事例の分析も進め、COVID-19との比較も可能になったことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ブレイクスルー感染の分析には、ワクチン接種者の中和抗体価の経時変化も調べる必要があると考えているので、経時的に抗体価測定を行う。流行する遺伝子変異株が経時的に変わる場合は、そのときどきの流行株を選択して測定を行い、ウイルス伝播と中和抗体の関係性を検討する。また、環境情報とあわせて総合的にウイルス伝播の影響因子を考察する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和4年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和3年度分についてはほぼ使用済みである。
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