2023 Fiscal Year Research-status Report
牧畜集落の担い手育成に資する牧畜民生活領域の保全計画
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20K04827
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 理恵 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20599104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 住教育 / 牧畜地域 / モンゴル / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、引き続き、中国・内モンゴル自治区を対象とした牧畜民の生活領域の保全計画策定に向け、景観保全の主体育成の方法論構築のため、現地の大学と連携して教育プログラムを検討・実践した。 内モンゴル大学、内モンゴル民族大学メディア学科、赤峰大学の研究者とオンライン会議を実施し、民族誌の取りまとめ作業を進めている。各地域における概要と、モンゴル国を含めたモンゴル牧畜民の居住環境の概要について、概ね骨子は完成しており、今後の展開可能性を含めた記述内容の議論を継続している。 これまでの調査結果の一部について、英文書籍にまとめたものが完成し、今後、国際的な議論における展開の素材として活用できる。 住経験インタビューについては現地教育機関との連携が困難であり実施に至っていないが、日本の授業で実践している内容を共有し、応用可能性を模索している。また、モンゴル国での展開についても検討段階に入っている。 2023年夏には、新たな牧畜集落の生業を維持する仕組みとして、観光業を取り入れて民宿経営をしている牧畜民世帯への調査を実施した。提供しているコンテンツや配置、動線計画を把握し、また毎年変化する空間配置の経年調査も実施している。成果の一部は国際会議で発表し、フィードバックを得ている。引き続き、周辺の環境との関連分析や牧畜民の意向調査を実施した上で、牧畜民の生活と環境・景観保全、観光業の両立を実現する改善提案を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
政治的背景により、ビザの発行に制限があったり、現地調査に制限があったりすることから、当初の予定通りには申請者自身による現地調査が困難な状況にある。現地にいる研究協力者や留学生との連携により目的を遂行することとし、1年間の期間延長を承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者による現地調査は実現可能性が低いため、現地協力者との意見交換に重点を置き、これまで進めている民族誌の取りまとめの最終段階にはいり、日本語、中国語、英語での発信に努める。現地出身の留学生による調査については実施可能であるため、追調査により分析の最終段階にはいり、査読付き論文として発表できるよう取りまとめする。9月に国際会議での発表を予定しており、そこでの議論を踏まえて審査付き論文、各言語での書籍を取りまとめ、現地の教育機関等にも配布予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた現地調査をビザ受給が困難となり断念したことで、計画変更が生じたため。申請者による現地調査は引き続き困難であるため、現地の研究協力者との連携及び現地出身留学生による現地調査を進め、取りまとめる。
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