2020 Fiscal Year Research-status Report
study on home builder's prosocial behavior influencing the trusting relationship with the resident
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20K04830
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊丹 絵美子 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00509119)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 工務店 / 向社会的行動 / まちづくり / コミュニティ・スペース |
Outline of Annual Research Achievements |
文献調査による理論の収集・読解に加え、2つの調査を行い、以下の知見を得た。 ①社内にコミュニティ・スペースをもつ工務店の事例収集 文献・Web ・新聞記事検索を行い、人伝に聞いたものを含め、大阪府下において16事例が抽出された。最も多い機能は用途自由なレンタルスペースである。ただ、自社主催のイベントを実施するもの(13事例)、空間づくりのショールーム、DIY工房、家具や雑貨の販売機能の併設も確認された事例においては、当該スペースは本業の営業活動の一端を担っていると推察される。市民団体に活動拠点として場を提供している事例(3事例)確認され、これらは地域のまちづくりへの貢献と捉えることができる。また、3事例ともカフェや食堂を併設しており、そのことは地域住民の立ち寄りやすさにつながると推察される。以上のことから、営業活動の一端とまちづくりへの貢献という2つの側面があり、そのバランスや具体的な手法は様々である。 ②まちづくり活動が本業のメリットと明言する事例へのインタビュー調査 O工務店に対するインタビュー調査と当該まちづくり活動に対する文献調査を行った。まちづくり活動に対してO氏・O工務店が多様な資源を提供していること、本業へのプラスの影響として、新しいタイプの受注増加と工務店の求人への応募者の質の向上が確認された。新しいタイプの受注増加の要因は、まちづくりの広報効果、まちづくりでの姿勢・実績、人脈の広がり、まちづくりによる場に整理できた。ただ、既客からの修理受注は増加しておらず、本研究の社会的目的意義である住宅修理の際の事業者選定を円滑にする可能性は確認できなかった。その背景には,当事例のまちづくりやプロジェクトの志向・対象があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗が遅れている理由としては、新型コロナ感染症感染拡大に起因する調査実施の制約が大きい。当該年度に予定していたコミュニティ・スペースの現地調査および、インタビュー調査は、次年度以降に実施したい。 また、新型コロナ感染症拡大により、大学業務および家事・育児の負担増加したことも、十分に研究を進められなかった一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
①コミュニティ・スペースをもつ工務店の実態調査 工務店に対するインタビュー調査を行い、当該スペースの設置の意図・経緯、利用状況、工務店と住民との信頼関係構築の機会としての効果などの実態を明らかにする。また、当該スペースの空間構成・設えに関する現地調査を行う。そして、営業活動の一端とまちづくりへの貢献という両側面のバランス・手法と、住民との信頼関係構築の機会創出との関係を探る。
②エリア・リノベーションに関わる建築関連事業者 2020年度の事例抽出のための文献調査やO工務店のまちづくり活動の本業へプラスの影響の生成過程から、エリア・リノベーションと類される活動への参加が、建築関連事業者の本業にプラスの効果をもたらす可能性が示唆された。そのため、2021年度は、まず、エリア・リノベーションの事例をもとに、その内容と参加する建築関連事業者の役割を整理する。そして、特徴的、あるいは典型的な事例に対してインタビュー調査を行い、向社会的行動と捉えられる活動参加の動機・内容や、本業へのプラスや住民との信頼関係構築の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
現地調査・インタビュー調査が実施できす、旅費、調査記録作成のための人件費、情報提供謝金が発生しなかったためである。当調査は次年度に実施する。
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