2021 Fiscal Year Research-status Report
study on home builder's prosocial behavior influencing the trusting relationship with the resident
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20K04830
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊丹 絵美子 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00509119)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 工務店 / 向社会的行動 / まちづくり / コミュニティ・スペース |
Outline of Annual Research Achievements |
①大阪府下のコミュニティ・スペースを社屋内に持つ工務店5社に対するインタビュー調査・実測調査を実施し、その概要、目的・経緯、活動内容などを明らかにした。4事例においては、当該スペースとNPOには関係があり、スペースを作るだけではなく、そこを利用する人や人的ネットワークがあることが確認された。一方、これらの活動において、本業へのリターンを意識しているものは2事例であり、実際にリターンを実感しているものは1事例のみであった。会社のCSRと位置付けているのも1事例のみである。他の事例からは、疎遠化した工務店と地域との関係の再構築や、本業で地域に迷惑をかけているお詫びといった、地域に対する工務店の姿勢が動機としてあげられたが、本業における当該活動の位置づけは定まっていない。本研究では、これらの位置づけを客観的に行うことを次の目的とする。
②工務店を会員とする業界団体のアジェンダや社会貢献活動の事例集などを基に、工務店の向社会的行動に関する取り組みや動向の実態把握を試みた。また、工務店のための専門メディアである新建ハウジングと情報交換を行い、工務店による向社会的な取り組みの先進事例や、工務店の社会活動への意識などに関する情報を得た。
③住宅の施工者の立場も併せ持つ郊外住宅団地の開発者のまちづくりへの関与に関するインタビュー調査を実施した。そして、施工者(≒開発者)の地域への関わり方と受注データには関係があることを明らかにし、施工者と地域住民との関係構築に関する仮説を得た。同内容を、日本建築学会技術報告集に投稿し、採用となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗が遅れている理由としては、新型コロナ感染症感染拡大に起因する調査実施の制約が大きい。2020年度に予定していたコミュニティ・スペースの現地調査およびインタビュー調査は、2021年度に一定数を実施できたので、それを早急に取りまとめる。 また、新型コロナ感染症拡大により、大学業務および育児(息子の小学校の休校やオンライン化への対応)の負担増加したことも、十分に研究を進められなかった一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
①前年度までに収集した先進的な事例の取りまとめを行う。必要に応じて、インタビュー調査・実地調査を行う。それにより、工務店による向社会的な行動の内容の類型化や方向性の整理を行う。
②一般的な工務店の社会・地域に対する取り組み・意識、実施の上での障害などを明らかにするためにアンケート調査を行う。実施にあたっては、工務店の業界団体やNPOの協力を得たいため、その関係づくりを早急に行う。社会・地域に対する取り組み・意識には、工務店の業務内容の比重(新築・リフォーム・修繕)や、立地環境、これまでの地域との関係、規模や商圏が影響すると考えている。それらの影響を明らかにするために、インタビュー調査結果を踏まえて、仮説を十分に検討の上、アンケート項目を精査する。
③最終年度となるため、向社会的行動の成立条件と居住者との信頼関係構築に影響を及ぼす仕組みの整理を目指す。また、それらを実践的な内容に落とし込むよう工務店やNPOの方と情報交換を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症感染拡大のため、調査実施や学会発表のための移動が制約された。そのため、調査実施費用、調査結果の整理のための人件費、旅費の支出が少なかったことが、次年度使用額が生じた理由である。 2022年度は2021年度に予定していたアンケート調査を実施し、移動も行政の要請を勘案しながら適宜行い、調査および研究発表を積極的に行う予定である。
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