2021 Fiscal Year Research-status Report
Method of rehabilitation plan and business scheme for mixed community in French public housing
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20K04842
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
関川 華 近畿大学, 建築学部, 准教授 (10646087)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フランス / 団地再生 / ソーシャルミックス / Paris Habitat / OPH / 社会住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の主要な2つの課題によって研究目的を達成しようとしている。課題1は団地再生の計画の把握、課題2は団地経営のスキームの把握である。そ れら課題にはそれぞれ2つの小課題を設定しており、令和3年度は課題2に着手した。 予定としては課題1の小課題である団地再生の事業実態に関する現地踏査を行う計画を申請時(2019年)には立てていたが前年度と同様に新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の収束の見通しが立たないため、未だ行うことができていない。令和2年11月までに、フランスの建築雑誌『Architecture d'aujourd'hui』から、新築及び再生された社会住宅のデータを67件(1999-2021年)抽出した。令和3年度はその事例の一つ一つを把握している最中である。 令和3年度時点では社会住宅の建設に係る公共事業の官民連携の法的枠組みと近年の住宅政策を上記の資料等より整理し、フランスの住宅政策の実現手法を把握した。その結果、2000年以降に改正された都市計画法や住宅政策の枠組みの中に「社会的統合の達成」という目標が明確に盛り込まれたこと、またその目標を開発済みの既成市街地で達成するための事業手法を確認することができた。さらに、近年の事例を概観することで、事業手法の実装状況を把握することができた。今回はPSLA(Pret Social Location Accession)やBRS(Bail Reel Solidaire)に係る事例を見出すことができなかった。今後はそれらの情報を収集するとともに、多様な事業手法で再生された社会住宅の運営状況などを把握したいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、令和3年度はCOVID-19の世界的なパンデミックの収束がおさまらず、日本からフランスに渡仏する計画を進めるにあたり、両国が同時に一定の感染者数の抑え込みに成功している時期を事前に把握することが出来ずにいた。現地踏査のための一週間程度の調査計画が立案できずに1年を過ごし、その間は文献調査をすることで踏査対象などを増やす方針に切り替えせざるを得なかった。成果の公表については、方針の切り替えなど計画の変更などで手間取り、公表のタイミングに間に合わなかった。そのため、目標としていた発信は達成されていないと考える。遅れがちではあるが、確かに成果はまとまりつつあると実感しており、今後の研究期間中に行いたい。令和4年度以降は引き続き両国のCOVID-19のワクチン接種の進捗や感染状況を注意深く観察しつつ、現地調査の手段と時期を慎重に判断したい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には課題1を概ね完了させ、令和4~6年度には課題1の成果を元に課題2の現地調査を実施したい。研究手法の課題として認識していることは、現地調査のタイミングである。当初の研究計画はCOVID-19自体、報告されていなかったことであり、世界的パ ンデミックに発展してしまった現時点では、移ろいやすい社会状況、国際状況を日々注視しつつ、現地調査の計画を立てる。研究費については、令和2-3年度に成果の公表のために報告会などへの参加費や出張費を計上していたものが繰り越されているため、次年度以降に行う現地調査を安全・健康に実施するために必要な消耗品やICT機器の準備などに充てたいと考える。 前年度に研究内容の課題として挙げていた、課題2の団地経営のスキームの把握に関する法律的な側面からのアプローチについては、幸にして令和3年度中に一定程度の把握ができたと考える。今後は成果を極力発表することに注力し、それを通して内容のブラッシュアップを継続的に行っていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の世界的な蔓延により、フィールド調査の実施時期を検討し、延期した。そのため翌年度分として請求した助成金と合わせて、フィールド調査着手を試みる。
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