2021 Fiscal Year Research-status Report
立地適正化計画における届出・勧告制に着目した立地誘導の効果検証と課題
Project/Area Number |
20K04850
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 邦雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20457758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市機能誘導区域 / 新設 / 立地比率 / 滅失 |
Outline of Annual Research Achievements |
秋田市の建築工事届けのデータおよび市の都市機能誘導施設のストック状況のデータより,届出制の運用開始「前」2カ年,運用開始「後」2カ年分について都市機能誘導施設に該当する各施設を抽出し,その新設と滅失の数とその立地を誘導区域別に分析した。 まず,ストックベースでみると,運用開始「前」の都市機能誘導施設のストック総数に対する都市機能誘導区域内のストックの比率は,2016年度末で25.2%,2017年度末で25.3%であった。これに対して,運用開始「後」のストック比率は,2018年度末で25.4%,2019年度末で28.3%であった。ストックベースでみた場合,立地比率は高まっているものの,その変化は僅かである。 しかし,フロー(新設)ベースで立地比率をみた場合,運用開始「前」2カ年の平均は16%,運用開始「後」2カ年の平均は44%と,立地比率の変化は大きかった。①商業施設,②医療施設,③介護・福祉施設,④子育て支援施設,⑤教育・文化施設の5区分でみると,とりわけ②医療施設が17%から50%へ,③介護・福祉施設が33%から57%へ,④子育て支援施設が14%から27%へと立地比率が高まっていた。これらの施設では,立地適正化計画の公表と届け出制の運用による誘導効果が現れているといえる。①商業施設と⑤教育・文化施設は,運用開始「前」「後」の4カ年で合計3件しか新設がないため,十分な分析には至らなかった。 また,都市機能誘導施設の全滅失数に対する都市機能誘導区域内の滅失数の比率をみた場合,運用開始「前」2カ年の平均28%から運用開始「後」の2カ年の平均5%と,誘導区域内の滅失率が減少していた。計画公表,届出制の開始との関係については,さらなる分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
建築確認申請の誘導施設の該当・非該当の峻別が困難なため,都市機能誘導施設の把握は,行政のストック状況データを入手して加工・分析することに変更した。また,居住誘導の対象となる住宅把握は,住戸数の判明する工事届けのデータによる作業に変更した。 都市機能誘導施設は,計画運用「前」「後」の立地分析と効果測定は進んだが,居住誘導施設は対象住宅の該当・非該当の峻別を行ったが,GISのジオコーディングの精度が低く分析に支障が生じるため,地番マッチングの業務委託を行って改善を図った。 以上のことから,アンケート調査には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
秋田市での4カ年分の居住誘導に関する立地分析を進め,都市機能誘導施設の立地との関係や都市機能誘導の誘導効果との比較を行う。また,研究当初に届出・勧告制の運用実態のヒアリングを行ったが,その後の時間の経過があることから,取組み状況等についての追加ヒアリングを実施し,届出・勧告制に関する考察を行う。その後,そこから得られた知見も加え,アンケートを実施する。
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Causes of Carryover |
(理由) 立地分析が遅れアンケート調査とヒアリング調査が未実施であったため,郵送費,データ入力費,交通・宿泊費の支出がなかったこと,GIS分析用に購入を予定したPCと周辺機器を購入しなかったために,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 地番マッチングの業務委託が2カ年分終わっていないため,その費用にあてる。また,GIS分析用のPCアプリケーションの更新,ヒアリング調査のための交通・宿泊費,アンケート調査費にあてる。
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