2023 Fiscal Year Annual Research Report
立地適正化計画における届出・勧告制に着目した立地誘導の効果検証と課題
Project/Area Number |
20K04850
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 邦雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20457758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立地適正化計画 / 届出・勧告 / 立地決定 / 誘導効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,前年度の研究成果を論文として整理し,投稿を行った。その後,論文を学会大会にて発表し,意見交換を行った。 研究期間全体を通じて実施した研究成果の一つ目は,届出・勧告制そのものについての過去の議論の把握である。地区計画制度創設時からは都市計画法に基づく届出の対応事務と建築基準法に基づく確認事務の窓口一本化,関係権利者の意見を十分に聞いて作成・決定することの重要性の議論を確認した。また,立地適正化計画制度創設時からは,誘導インセンティブについて民間市場が動かないような場所などへの支援,勧告制の活用とその内容の議論を確認した。 研究成果のメインとなる二つ目は,立地適正化計画による立地誘導の効果検証を,秋田市の運用実績に基づき調査・分析した。都市機能誘導施設と居住誘導住宅の立地分析を計画公表前2ヵ年,公表後4ヵ年の期間を対象に行うとともに誘導施設・誘導住宅の開発・建築主へのアンケート調査,個別聞き取り調査を行った。この事例調査・分析から,①6ヵ年のデータからは立地誘導効果は確認できない。但し,誘導戸数の面において規模の大きなマンション立地は立地誘導効果が期待できる。②開発・建築主は立地適正化計画の理解の不十分なものが多く,誘導区域を考慮する場合はわずかである。③立地決定は,土地にかかわる過去の事情が多く影響している。④居住誘導住宅の開発・建築主においては,エンドユーザーの居住誘導区域に対する評価に影響されて立地検討している。以上の4点を明らかにした。 これらの成果を踏まえ,今後の課題として,制度の趣旨やエンドユーザーにとっての誘導区域内に立地するメリットの周知を強化すること,都市拠点構造への影響が強い誘導施設・誘導住宅における早い段階での届出・協議の仕組みの導入すること,以上を示した。
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