2021 Fiscal Year Research-status Report
社会変化の受容に着目した戦後建築・都市計画制度史研究の構築
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20K04853
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
藤賀 雅人 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (10593197)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 制度設計 / 法の関係性 / 建築基準法 / 都市計画法 / 災害危険区域 / 都市再生特別地区 / 重要伝統的建造物群保存地区 / 確認申請 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の3つのアプローチから研究を進めた。 (1)終戦から1950年代に至るまでの建築法・都市計画法改正の検討過程を詳細に整理し、①都市計画法の抜本改定が先導して検討され、その後、建築法の検討が開始されたこと。②検討過程において地方計画法の提案が頓挫し、従前の地域制を踏襲したこと。③抜本的な建築法の改正検討が行われたことで、都市計画法改正に含まれていた地域制が建築法で議論されたことを明らかにした。また、こうした検討案と異なる趣旨で立案された建築基準法が制定されたことで、再度、都市計画法の抜本改正が予定され、ここで地方計画等を改めて議論するに至った事実を解明した。加えて、1950年代以降の建築基準法・都市計画法の関係項目を辿り、関連法として成立した項目を抽出することで、終戦時に思考されていた制度の成立状況と建築基準法・都市計画法との関係性を構造的に把握した。以上の内容は、学術論文・書籍として成果発信に至っている。 (2)6大都市における建築基準法・都市計画法等の制度運用の通史的な考察を進めた。中でも、基盤整備の果たした役割を考察し、都市ごとの地形的特徴、事業計画の特殊性、基盤整備後の形態規制の設定方法等に違いが見られ、既成市街地の再基盤整備の進行状況にも相違点があることを明らかにした。 (3)現行制度の運用実態把握として、建築基準法制定時に創設された災害危険区域の活用状況を調査するとともに、重要伝統的建造物群保存地区や都市再生特別地区といった、社会的要請の中で創設されてきた地域地区等の活用状況を明らかにするとともに、運用上の課題を整理した。これらの調査により、人口減少時代、成熟社会移行期における都市計画の役割、個別・集団の建築行為やストック活用の関係性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響を受け、一部資料収集が行えておらず、ヒアリング調査が進行していない状況もある。一方で、当初の目的とした終戦直後から1960年代にかけて行われた建築・都市計画法検討の全体像を把握するに至っており、通史的な視点での法制度の成立・不成立の整理が進んだ。また、新たに現行制度の運用実態についても調査に取り組むことができており、当初の予定以上に進展している部分もある。 以上の状況から、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1950-60年代にかけて検討された都市計画法改正案の把握・考察を進め、終戦直後の法案との類似性・相違性を整理する。加えて、1940-60年代に成立した制度を中心に、現在の運用実態と課題の抽出を進めることで、社会変化に対応した制度設計のあり方を考察していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け、研究補助者に謝費を払い進めるとしていた法制度のデータ化、先行研究者へのヒアリング調査が滞っている。また、一部の資料収集に遅れが生じていることから、次年度使用額が生じている。 次年度は、一次資料の収集を行い、法制度のデータベース化を進める。これに加えて、制度の成立・活用状況を通史として整理・考察するため、現代の制度運用の実態調査を積極的に進めることとする。
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Research Products
(6 results)