2020 Fiscal Year Research-status Report
Consideration of balance among "Phased, priority and assisted evacuation" on high-rise welfare facilities in population reduction and "double care" society
Project/Area Number |
20K04859
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70305556)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少子高齢化 / 火災 / 避難 / 防災計画 / 災害時要援護者 / 国際機能分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少・少子高齢社会の大きな課題として、地震時・火災時の災害時要援護者として、高齢者・乳幼児等災害時要援護者を取り上げ、比較的低層かつ数が多い中高層建築物を含む避難実態を調査する。これらの建物では階段容量の不足により一気に避難することは難しいため、危険な場所から順番に避難する「順次避難」を計画する。このような観点を踏まえ、本研究の目的は、一人で避難できない人のための「介助避難」健常者、要援護者のいずれを先に逃すかの「優先避難」のバランスの良い計画を体系的に整理した災害時要援護者の避難計画ガイドラインを作成することである。 昨年度は(1)高層建築物内の社会福祉施設の高層階設置及び利用実態の現状把握、(2)社会福祉施設の防災安全計画および避難訓練実態・保育士の避難誘導・介助方法の把握を予定していたが、新型コロナ感染症による移動制限、対面接触制限等により、調査方法が制限された。このため、計画を変更し実施可能な以下の内容を先行して実施した。 (a)高齢者福祉施設、保育施設の利用者の避難能力のICF(国際生活機能分類)を用いた整理:利用者の身体能力を表す指標である国際生活機能分類を用いて、火災時避難における避難能力を整理するとともに、自力で避難できない場合に必要とされる介助者の能力と介助避難方法について評価シート(案)を作成した。その結果は、日本建築学会の大会に投稿し、発表予定である。(b)避難シミュレーションをもちいた中高層建築物内、社会福祉施設基礎モデルの作成 順次避難、介助避難、優先避難を検討するためのベースとなる建築物の基礎モデル作成及び実施可能性について検討を行なった。このように研究順序を入れ替えることで、研究全体のベース部分を構築できた。引き続き新型コロナ感染症の対応状況を見極めつつ(1)(2)の課題について実施する予定である。なお、状況に応じて方法を変更することも検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の拡大により、強い移動制限、対面活動の禁止などが行われたため、研究遂行に対しては極めて厳しい状況であったと言える。当初予定していた調査、研究発表のための出張、国内外学会の中止、対面調査、実験などの実施は不可能であった。度重なる緊急事態制限及び蔓延防止措置の期間において、上記の移動制限、対面活動の禁止が継続したことから、研究順序を入れ替えて対応した。なお在宅で実施できる対応として、海外研究者とのオンライン会議、シミュレーション研究、研究計画の再検討、論文執筆等は予定以上に実施した。このため、一部の研究内容については、当初の予定以上の成果を上げている。ただし、対外的な活動が制限されたため、研究費の執行に困難を生じた。総合的に評価し、全体的にはコントロールの範囲ではあり、延長を申請したことも含めて、計画通りおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、コロナ感染症の拡大により、強い移動制限、対面活動の禁止などが行われたため、当初の目的どおりに実施することが難しかった研究部分があった。対処方法等も次第に明確化してきたことから、状況はやや改善しているが、現在も緊急事態制限は継続し、その後の予想される蔓延防止措置の期間において可能な活動については、引き続き不透明である。可能な限りの実践的な研究実施は行う予定であるが、感染拡大防止との対応と合わせて研究計画時期及び内容の変更についても検討すする。また、国内外学会等を含む研究成果発表については、状況が改善した時点で実施することを予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大により、強い移動制限、対面活動の禁止などが行われたため、研究に必要な出張や研究成果を発表する国内外の学会が中止となり、出張等が行えなかった。このための旅費の使用を見送った。また、資料収集・整理のための研究補助者の雇用も困難であった。このための謝金の使用を見送った。加えて調査、分析作業に必要な機材の購入も見送った。このために、当初予定と予算執行の間に差額が生じたものである。本年度は、状況の改善し行動制限が弱い時期など見極め、研究補助者の雇用を推進すること、調査等を実施することなどで適切に予算執行を行うことを予定している。
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Research Products
(1 results)