2022 Fiscal Year Annual Research Report
自発的な地域コミュニティ形成の場としての「開く住まい」に関する研究
Project/Area Number |
20K04861
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
是永 美樹 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (30345384)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 住まい / 開く / 居場所 / 高齢者 / 子ども / 地域 / 福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域コミュニティ形成の場としての自発的に自宅の一部を開いているもののなかで、高齢者や子どもを対象とした福祉的なコミュニティの場として開いている住まい方の特徴を明らかにするため、2020年度は高齢者の居場所、2021年度は子どもの居場所についてそれぞれ間取り調査とヒアリング調査を行った。これまでに、それぞれ対象者別に住まい方の特徴を明らかにし、日本建築学会等で成果発表を行った。最終年度はこれまでの結果を総括し、プログラムと参加者の属性により地域コミュニティの場としている住まいの開き方を類型化し、さらに住まいを開く際に検討すべき計画学的な項目を整理した。 まず住まいを開くプログラムについては、高齢者のみを対象としたもの、子どもとその親を対象としたもののほかに、年齢を問わない多世代を対象としたものに分類できた。また、単一のプログラムのみで開く場合と、同じ場所でいくつかの異なるプログラムで開くものがあり、単一のプログラムの場合は、自宅を開放する住民自らが開催し、複数のプログラムの場合は、開設者の自宅が仲間や協力者の活動の拠点となっていることを把握した。 次に、住まいを開く領域については、プログラム、対象者を問わず、開く部屋はアプローチの仕方を考慮して接道側の1階が望ましいこと、高齢者のみの場合、開く領域は限定的であるが、対象に子どもが含まれる場合は、開く範囲が大きくなる傾向があり、主な活動部屋のほかに続き間や別室が必要とされることを把握した。 また、開く部屋は「居場所」専用の部屋である場合と、日常的には家族が使用している部屋を一時的にコミュニティの場として開いている場合があるが、あらかじめ開くことを想定して新築または改修した事例では、開く部屋が活動専用の場で開く領域も限定的であるのに対し、住んでいるまま開いた場合は、開く領域は生活領域と共用され、範囲も広くなりがちであることを把握した。
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