2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the planning method of urban land use adapting to extreme precipation events
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20K04862
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
客野 尚志 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80322725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 解析雨量 / GISによる可視化 / 基本統計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、短時間集中豪雨に着目し、これに適応する都市計画の枠組みの方法論を示すことを目標としている。具体的には、1km程度の詳細な空間解像度で集中豪雨発生の様相をとらえ、その統計的特性を、極値統計学の手法をもちいて明らかにし、そのうえで将来の集中豪雨の発生頻度や場所を予測して、高リスク地区を抽出する。そして、この予測を土地利用や建築物の状況と併せて評価し、集中豪雨に対する都市計画の適応策としてまとめることを意図している。 本年度は、この研究の一年目として、様々なデータの準備作業を行った。具体的には1998年から2018年の全国の解析雨量のデータを取得し、圧縮データを展開したうえで最大の空間解像度にて日最大1時間降水量をもとめるためのプログラムをPythonを用いて開発した。解析雨量は、年により、提供されるデータの空間解像度、時間解像度や測地系がことなるために、時系列の比較を可能とするように、空間解像度と時間解像度を変換するためのアルゴリズムもこれに組み込んだ。また、このプログラムを通じて得た各地点の日最大の1時間降水量にたいして、年間の基本統計量を算出し、それを1次メッシュ、2次メッシュ、3次メッシュの三段階の空間解像度にて空間的に集計した。さらにそれぞれのデータを可視化するために、これをGISに取り込み地図として描画した。また、1次、2次メッシュ単位においてはこの経年変化を示すアニメーションを作成し、地点ごとの時間降水量の最大値の経年変化が直感的に確認できるようにした。 さらに、人工衛星から作成された建物形状3Dポリゴンデータについて、適地(詳細解析の予定場所)を選定したうえで、必要な手続きを経て関係機関から取得し、それをGISを用いて可視化した。同時に、時系列分析の手法による解析のためのプラットフォームも整備して、次年度以降のより詳細な分析作業のための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね予定していたことは実現できたと考えているが、「やや遅れている。」とした理由は二点ある。一つはデータをハンドリングする過程において、より詳細な時間解像度で、より長期間のデータの処理が必要と感じ、そのための変換作業などが増加したこと。さらに計画当初は区域を絞って研究を進める予定をしていたのにも関わらず、実際に作業を進める中で、全国の動向を俯瞰したうえで地区を絞った詳細な分析をする必要性を感じ、そのための作業を追加したためである。さらに、昨今の社会状況の急激な変化により、研究に割くことができる時間が予定よりも大きく減少したこともその一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
先の進捗状況の「理由」において述べたように、データの時間解像度をより詳細にして、さらに当初より長期間のデータを扱い、さらに場所を限定するのでなく、全国の動向を扱うという変更を行ったことにより、いくつかの付加的な作業が発生したので、まずその作業を完全に終え、解析のためのデータを完全な形で整える。そのうえで、当初に予定していた作業、すなわち極値統計モデルを使用した実際の分析に入っていくことを考えている。その一方で、予備的な考察をする中で、極値統計のモデルを使用するだけでは不十分とも考えており、時系列分析の手法と併せた分析の手法を考えるとともに、両者を組み合わせた分析を実現するためのプログラムを開発することを予定している。
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Causes of Carryover |
物品費については当初購入を予定していた地点ごとの高さデータについて、データ提供元の情報提供を受ける中で、より詳細な形態情報を保有する建物3Dポリゴンデータに変更したために、予定していた金額と若干の差異が生じた。また、備品のノート型ワークステーションや各種気象データも予定額から若干の変動があり、これらの増減を合わせて5万円程度の繰り越し分が発生した。 次年度については、前述の購入データの変更に伴い、追加で別機関が提供する別種のデータを購入する必要が発生したので、次年度予算と当該繰り越し分を合わせて、新たなデータを購入することとする。さらに、当初の次年度予算については、昨今の社会状況により旅費が使用できない可能性もあるので、これについても状況を見て予算計画を修正しながら、当初に設定した研究目的を遂行できるよう適切に執行していく。
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