2020 Fiscal Year Research-status Report
近隣との関係を醸成するイギリスの集合住宅に関する研究
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20K04864
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佃 悠 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90636002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕典 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (00614653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス / 集合住宅 / 高齢社会 / コミュニティ / コモンスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスの集合住宅を対象に、住戸とコモンスペースとの関係に着目して、社会的・政策的背景と計画の実際、居住の実態を探ることで、良好な近隣関係を保ちながら、長期的に持続可能なストックとして集合住宅を計画するための知見を得ることを目的としている。 令和2年度には、住宅政策の整理とヨーロッパの他国からの影響について、現地での文献およびヒアリング調査を通じて明らかにする予定であったが、COVID-19の感染拡大により海外渡航が制限され、現地調査を行うことができなかったため、当初の計画を変更して調査を進めた。実際に行った調査として、まず、1900年代以降の住宅政策と都市計画政策について、既存の文献を元に情報の整理を行い、ロンドンを中心とした政策の時系列変化についてまとめた。さらに、社会的・政策的背景を鑑み、重要と考えられる事例を、具体的な調査を行う対象として抽出した。これらは、今年度以降に行う調査の基礎的内容であり、今後の調査で有効に活用可能な資料となっている。また、研究開始以前に現地で収集した資料とオンラインで追加して収集した資料を元に、現在のイギリスでの高齢者住宅に関する社会的な課題および設計に関するガイドラインの分析と、最新の高齢者住宅についての実態把握をおこなった。このように、近代以降の住宅政策や事例の資料収集・整理と、近年の具体的事例の詳細調査を並行して行うことで、現地調査が可能になった際に効果的に調査を行えるように研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、現地での資料収集を行った上で具体的な分析を進める予定であったが、海外渡航が制限されたことにより、日本で入手可能な資料やすでに現地で取得していた資料で調査をせざるを得なくなった。そのため、当初予定していたこれまでのコミュニティ概念の変化やコモンスペースの計画状況の把握、ヨーロッパの他国からの影響関係について等現地での情報が必要な調査に取り掛かる前に、研究期間の後半で行う予定であった近年の高齢者住宅の計画におけるコモンスペースの役割などの分析を行った。さらに、住宅政策、都市計画政策については文献からまとめた。進捗としては、現地調査を行えないことにより、現地での資料収集や調査は遅れている状況であるが、当初の計画を見直し、現在可能な調査から先に進めることで、全体的な研究への影響が最小限となるように対処している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度には、昨年度の調査をもとに選定した具体的事例について、文献調査によりどのような経緯で誕生したのかその計画・設計プロセスと社会的・政策的背景との関係を調査する。その後、現地の関係者に対してヒアリング等調査を行い、文献調査を裏付ける聞き取りと、現在の管理・住まわれ方の状況について把握する。COVID-19の感染拡大が収まるまでは引き続き現地への渡航が制限されることが予想されるため、その間現地についての調査はオンラインなどを活用して行い、渡航が可能になった際にはできるだけ速やかに実際の現地調査を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
当初計画していたイギリスでの現地調査が、COVID-19の感染拡大による海外渡航の制限により実施できなくなっため次年度使用額が生じた。令和2年度に計画していた現地調査は、令和3年度に海外渡航の制限が解除されたのち速やかに行い、令和3年度に計画している調査とともに、当初計画していた調査の実施完了のために助成金を使用する。
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