2022 Fiscal Year Annual Research Report
Relationships between Building Structures and Decorations of the Royal Architectures of Iberian Penisula in the Sixteenth Century
Project/Area Number |
20K04883
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛ケ谷 潤一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30502744)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 16世紀 / イベリア半島 / ルネサンス / 建築装飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
最初の2年間は新型コロナウィルスの影響により、海外での現地調査ができなかったため、作業はもっぱら文献の収集と読解に限定された。しかし最後の令和4年度にようやく、スペインでの2週間の現地調査を実施することができた。まず〔雑誌論文〕からみていくと、9月に日本建築学会大会で行われた下記のパネルディスカッション(PD)に原稿を寄稿した。このPDは古典主義をテーマとしたもので、むろんルネサンスが中心的な役割を果たしている。そこでルネサンス期には、大建築の設計においてしばしば参照された平和の神殿(マクセンティウスのバシリカ)を重要な古典建築の一例として取り上げ、破壊された状態の結果とはいえ、おおむね南向きの断面図や透視図として表現されることを指摘した。 次に〔学会発表〕については、6月に地中海学会大会で行われた下記のシンポジウムにパネリストとして登壇した。このシンポジウムでは、文学、美術、音楽、建築の専門家が、それぞれ模倣や複製をテーマに議論を交えるもので、今後学際研究を進めるきっかけをつくることができた。また、9月に日本建築学会大会で行われた下記の発表は、以前から進めていたセルリオの建築書の研究に関連するもので、住宅建築に関する『第六書』に登場する「都市郊外におけるきわめて高名な君主の家」(cc. 19v-21r)を対象としている。この家の平面図と立面図には、宗教建築との強い類似性がうかがえ、これが最高の住宅であることを表現すべく、「神の家」である宗教建築のモティーフを採用したと考えられることを指摘した。 最後にスペインに関するテーマとしては、今年9月に京都大学で行われる日本建築学会大会で下記の発表をする予定であり、原稿はすでに受理されている。この発表は、病院建築を例に取り上げ、ミラノからスペインへの影響関係について検討を試みたものである。
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