2022 Fiscal Year Research-status Report
境島村における幕末~近代の蚕種製造民家群の保存継承に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20K04886
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 敏 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (20311665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 境島村 / 登録文化財 / 田島弥平旧宅 / 田島元雄家 / 田島新一家 / 境島村登録文化財活用推進協議会 / 推進通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
群馬県伊勢崎市島村地区において、あらたな登録文化財を目指して新地地区所在の田島元雄家離れを実測調査し、図面を作成し、写真資料を整理した。また、昨年度登録書類を整えた新地地区の田島新一家住宅主屋が第103回有形登録文化財(建造物)に登録された。 境島村登録文化財活用推進協議会主催の「境島村の伝統的建物の調査発表「島村伝統的民家の魅力と可能性」」が2022年10月8日(土)に伊勢崎市境総合センターにて開催され、大野が基調講演「島村伝統民家の魅力と可能性」と題して講演し、大学院博士課程後期のチェン・スイー・イーさんが学生の島村における地域連携活動について紹介した。会場は地元の方々はじめ、伊勢崎市長と教育長、県議・市議など行政関係者、学識経験者など112名の参加を得た。この時の参加者の感想や意見は、境島村登録文化財活用推進協議会会報「推進通信」第6号において紹介された。 2022年度に発行された「推進通信」第5号~8号の内容と、上記調査発表会の講演資料を掲載した『令和4(2022)年度「推進通信」5号~8号合併号』を編集・刊行した。また、世界遺産田島弥平旧宅内の新蚕室遺跡に関して、遺跡の現状調査と資料調査、関連建築調査を通じて、新蚕室の復元考察を行った(チェン・スイ・イーと共同)。 山形県金山町の旧家近岡家主屋の国有形登録文化財に協力し、2022年度に登録が実現したが、続いて同家土蔵(内蔵・外藏)の登録に向けた調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
登録文化財の件数を着実に増やしている(大野関係分だけでも7件)。 公開の調査報告会には、地元の方々が多く参加してくれた。あわせて市長・教育長、県議・市議、学識経験者など、行政・学術 関係者など、ステークホルダーの方々が多く参加してくれたことにより、境島村の蚕種製造民家建築群の特性とその保存継承の必要性が、一定の認識となり始めたことが感じられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に調査した田島元雄家離れ(2階は母蛾検査用の顕微鏡室だったという)の有形登録文化財に向けて書類整備を行い、登録手続きを推進する。あわせて第98回の登録有形文化財となった金井義明家主屋に続き、金井家付属建物の呑山楼(南画家金井烏洲のアトリエと伝える2階建ての小建築)についても登録のための調査を実施する。さらに境島村に隣接する埼玉県本庄市宮戸地区において、以前調査した金井総雄家住宅主屋の有形登録文化財に向けた動きが進んでいるので協力する。 境島村地区における伝建制度の適応の可能性について、今年度の境島村登録文化財活用推進協議会主催の勉強会に協力して、具体的な伝建地区制度の導入に当たってどのような点に留意すべきか、どのようなことから進めて行けばよいのか、伊勢崎市・周辺自治体と相談の上、文化庁の指導を仰いで推進していく予定。
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