2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on "painting method" in Carlo Scarpa's architectural works using ICT technology
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20K04888
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
平瀬 有人 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (40367058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間分析 / ICT技術 / 3D計測 / カルロ・スカルパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、建築家カルロ・スカルパの設計した建築作品を対象に、写真測量を用いた3Dモデリングによる空間構成の調査を行い、さらに全周パノラマ画像を用いてスカルパのデザインの根幹的手法である、フレーミングによって鑑賞者に視点を与える「絵画的手法」を明らかにするものである。「絵画的手法」とは、三次元の空間に絵画的なシーンを構築する、すなわち、ある視点と構図において空間を平面的なシーンとして還元するような操作と定義することができるが、スカルパはそのような絵画的手法を連続して用いることでシークエンシャルな多視点が連続していく空間をつくりだしているところに特徴がある。 まず代表的な創造的修復の建築作品《カステルヴェッキオ美術館》を対象に、現地に赴い て3Dレーザースキャナーによる高精度の点群データを調査し、SfM(Structure from Motion)ソ フトウェアによって3Dモデリングの作成を行う。写真測量によって空間を三次元形状に復元できることになり、よりリアルな空間把握が可能となる。特にスカルパの美術館において空間的に重要な役割を果たす「彫塑」を3Dモデル化することで、「開口」・「彫塑」が一体となって視線の連鎖をつくり出している構成を明らかにし、スカルパの「絵画的手法」を定性的に分析する。 本研究の多くの特徴は、スカルパの作品の大半は既存の建物の幾度もの改修ゆえに複雑な空間であり、そうした不定形の形状の連続する空間や繊細なディテールの実測や再現が従来の手作業による実測調査では難しかったものを、3Dレーザースキャナーによる高精度の点群データから3Dモデリングを作成し、より正確な空間把握を行うとともに、近年技術的な進化の著しい全周パノラマ画像を用いて空間の視覚情報を定量的に記述・分析するところにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
イタリアに赴いて3Dレーザースキャナーによる高精度の点群データを調査し、SfM(Structure from Motion)ソフトウェアによって3Dモデリングの作成を行う予定だったが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外渡航自体ができなくなった。そのため本年度も継続して関連論文・文献などの調査及びそれらを踏まえた研究内容発表を中心に行っている
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Strategy for Future Research Activity |
今夏に海外調査を行う予定を検討している。調査機器の3Dレーザースキャナーを用いて、試験計測などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大に伴い海外渡航自体ができなくなったが、本年度は3Dレーザースキャナーの購入及びイタリアでの渡航調整費の支出を予定している。
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