2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the conversion from Japanese nails to Western nails
Project/Area Number |
20K04889
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Research Institution | Nagaoka Institute of Design |
Principal Investigator |
平山 育男 長岡造形大学, 造形学部, 教授 (50208857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仕様書 / 和釘 / 洋釘 / 角釘 / 丸釘 / 併用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、建築資料を中心に和釘と洋釘併用について考察した。加えて、我が国における和釘と洋釘の変遷を世界史的観点から考察を行った。 仕様帳については、明治19(1886)年における国指定重要文化財の和歌山県旧中筋家住宅中蔵についてものを検討し、ここでは和釘と洋釘が46:54の重量比で使われたことを示した。 また、明治時代初期における太政官公文録中の建築仕様書における釘の記載を再検討することで、幕末期の天保元(1830)年から明治12(1879)年における和釘の価額を検討し、加えてこれに明治年間における同寸法となる洋釘の価額を比較検討することで、和釘と洋釘が、明治10(1877)年代後半を中心に併用が進ん理由を、経済的な観点から明示した。 世界史的観点における我が国における和釘と洋釘の変遷については、何故、洋釘に先行して、国内では和釘の原料とされたNail-rodが先行して元治元(1864)年から輸入がなされたのか、との考察を試みた。その結果、当時は欧米を含め、製釘のあり方自体、鍛造となる角釘生産の終焉期であると同時に、Wire-rodを連続的に冷間加工することによる丸釘の大量生産を開始した黎明期でもあったと判断した。かつてイギリスにおいても「手による釘の鍛造業は、急速に消え去るべくあまりに根深い歴史的な産業であった」との事実を把握した上で、我が国においても、和釘から洋釘の転換時においては同様のことがあり、先ずは和釘=角釘の原料となる棒状の角鉄材であるNail-rodが輸入され、国内で広く流通して角釘の製釘に寄与したと考察した。
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