2020 Fiscal Year Research-status Report
大名華族の東京邸に関する都市史的研究─明治前半期を中心に
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20K04896
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
松山 恵 明治大学, 文学部, 専任准教授 (40401137)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市史 / 大名華族 / 江戸 / 東京 / 明治前半期 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、新型コロナウイルスによる感染症の問題が年度の初めから度々発生し、都道府県をまたぐ移動(とりわけ研究者本人が在住する東京都からその外部へ)の自粛が要請された。その結果、当初「研究実施計画」で予定していた活動、すなわち列島各地の史料館を訪問し、そこに所蔵されている歴史資料の閲覧ならびに収集をおこなうこと自体がほとんど不可能となった。 したがって、昨年度中、研究を少しでも前進させることを考えて、以上のような制約のなかでも可能なことへと研究実践の中身をシフトすることにした。具体的には、現在、東京都公文書館が所蔵する東京府関係文書のなかでも、明治初年東京の武家地(それには本研究課題で注目する大名華族の東京邸も当然含まれる)を管轄した府部局(邸宅掛など)作成の史料にターゲットをしぼった。昨年度、収集と分析の作業をすすめたのは、『諸官省往復』・『行政官御用留』・『鉄道築造書類綴込』・『院省往復』・『官庁地因革誌稿』(以上、順不同)である。 以上の作業の結果、つぎのような新たな知見が得られた。明治初年、大名華族による東京邸の確保・獲得をめぐっては、これまで制度面に関する検討が進み、たとえば明治新政府による彼らへの処遇に大きな格差(新政府との関わりの濃淡によって、邸の優劣に差異が出るといった)はなかったと考えられてきた。しかしながら、現実に取られた対応は、そのような制度内容とは異なり、新政府樹立への貢献度や恭順時期などによって大きな違いがあったことなどが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染問題の結果、昨年度に予定していた活動(列島各地に所蔵されている歴史資料の閲覧・収集など)が大きく制約されたため、研究内容の積み残しが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、新型コロナウイルスの感染問題との折り合いの付け方が一つのポイントにはなるが、状況に改善がみられた際には、コロナ対応で昨年度実施不能だった事項について調査を遂行する(昨年度分の旅費等は未使用で、今年度への繰り延べとなっている)。また、昨年度の作業で明らかになりつつある内容(上述の「研究実績の概要」参照)についても、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
昨年度、新型コロナウイルスの感染問題の結果、当初予定していた日本各地(東京以外)の史料館への訪問、ならびに所蔵史料閲覧などの活動がおこなえず、旅費等を使用しなかった。今年度中、感染状況の改善の折には、これら昨年度実施不能だった事柄を遂行するために「次年度使用額」をあてる計画である。
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