2020 Fiscal Year Research-status Report
近世大名の領内における空間計画に関する都市史的研究
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20K04898
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
安高 尚毅 小山工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (50341392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在方町 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、福岡藩・松江藩・萩藩・宇都宮藩の在方町の都市復原図を作成した上で、領国全体の空間整備の計画性の有無を読み解いていこうとするものである。研究対象を近世前期在方町に絞り、特に代々藩主家が続く藩(福岡藩・萩藩)と藩主家が交代した藩(松江藩・宇都宮藩)を比較することで、領内の空間整備計画の存在の仮説を立証する。また、伝統的町並みの文化的価値を総合的に示すとともに、今後の街づくりに活用可能な資料として取りまとめることも目的としている。 本年度は松江藩在方町の史資料収集、福岡藩在方町の史資料収集を行い、関連資料である市町村史の通読を行い、成果として、仮説を立てることが出来た。さらには都市復原図の作成を進め、松江藩において半数程度の作業が終了した。それらの分析を行うことができた。さらには、福岡藩の箱崎町茶屋・内野町茶屋の図面を入手分析し、松江藩において安来御茶屋の図面を入手し、分析を始めているところである。 松江藩在方町に関しては美保関において地割りや空間構成に関して中世的な様相がみられ、都市計画寸法と建築計画寸法との間に相関関係が見いだせることを発見し、美保関固有の伝統的建造物の特性と都市との関連性を掴みつつある。また、本庄においては古代から続く寺社とその門前を把握し、さらに近世的な展開を掴んでおり、都市の特異な発展形式を把握している。文献資料からも、在方町の中世的な要素を掴み、これらを総合して今後発表を行いたい。安来については御茶屋の図面を作成し、御茶屋が囲繞された空間構成を示していることを捉えることが出来ている。一方、福岡藩在方町については藩政施設と在方町の関係性において計画性を掴み、建築レベルにおいても配置の計画性を掴みつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス蔓延の影響により出張等に制約が出てきたため、自由に研究が出来ない環境にあった。また、コロナの影響のため学生アルバイトを自由に使うことが出来ず、作業に支障が出た。 これにより、本来の計画の半分くらいしか成果が出せず、それにより、考察も中途となっている。 学術的な成果に関してはおおむね予想どうりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果は、研究の進捗がコロナの影響によって遅れたものの成果は上がっており、それらをまとめて今後、日本建築学会において報告を行うことを考えている。資料収集においては順調に進んでおり、今後も計画通りに進めることが出来る。具体的には萩藩在方町・宇都宮藩在方町の資料収集を行う。萩藩においては山口県公文書館、宇都宮藩に関しては栃木県法務局および栃木公文書館において資料を収集する。松江藩・福岡藩の都市復原図の作成は遅れており、今後、急いで作業を進め、その成果をまとめて発表を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる活動自粛の影響が大きい。今後は前年度の作業のアルバイト代と備品購入を行う予定である。
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