2020 Fiscal Year Research-status Report
アフガニスタン・ヘラート旧市街地保全のためのまちづくり計画案の策定
Project/Area Number |
20K04906
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安藤 徹哉 琉球大学, 工学部, 教授 (60222783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地区実態調査 / ダーラン / 伝統住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
提出した交付申請書の今年度の研究実施計画のうち、ヘラート旧市街地の地区実態調査(敷地区画の特定、ダーラン(街路上の構造物)を含む街路調査、オープンスペース調査、4街区・8,000件の建物形態調査)を行なうことができた。ただし、新型コロナウイルスの影響で、土地・建物の所有形態、居住者数、居住年数、地区への要望などの項目は割愛せざるを得なかった。これらの項目に関しては、次年度以降、新型コロナの状況を見極めながら、実施の可否を考えることとする。 現在、調査結果の検証を行っているところであるが、現段階における本年度の研究成果としては、1)ダーランは、内戦(1978-2002)の間よりも内戦終結後により多く取り壊されている。これは、内戦からの復旧過程におけるヘラート旧市街地における地区の近代化の進行が要因となっていると考えられる。2)従来、日干しレンガ造の伝統住宅は車が侵入できない歩行者専用路の沿線に多く残っていると考えられてきたが、実際には自動車が侵入可能な道路と歩行者専用路の間に分布の差があまり見られないことが見えてきた。これは、伝統的景観の保全計画を立案するにあたり、重点地区を決めにくいということを示している。1)、2)に関しては、それぞれ研究成果を建築学会計画系論文週に投稿予定である。 新型コロナウイルスの影響により、現在、来年度以降の研究計画を見直している。交付申請書では、地区の保全計画を住民に対する聞き取り調査から立案する計画としていたが、聞き取り調査ができない場合、地区の保全の意義を住民に啓蒙していく以下の計画に変更したい。1)ヘラート旧市街地の都市壁の文化財的意義をC14年代測定により示す。また、その都市壁がどのように破壊されてきたかを調査する。2)イギリスで出版されたイラン・バムの復元に関する書籍の翻訳権を購入してペルシャ語に翻訳し、住民に対する啓蒙活動に活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提出した交付申請書の今年度の研究実施計画のうち、ヘラート旧市街地の地区実態調査(敷地区画の特定、ダーラン(街路上の構造物)を含む街路調査、オープンスペース調査、4街区・8,000件の建物形態調査)を行なうことができた。ただし、新型コロナウイルスの影響で、土地・建物の所有形態、居住者数、居住年数、地区への要望などの項目は割愛せざるを得なかった。これらの項目に関しては、次年度以降、新型コロナの状況を見極めながら、実施の可否を考えることとする。 現在、調査結果の検証を行っているところであるが、現段階で見えてきた本年度の研究成果としては、1)ダーランは、内戦(1978-2002)の間よりも内戦終結後により多く取り壊されている。これは、内戦からの復旧過程におけるヘラート旧市街地における地区の近代化の進行が要因となっていると考えられる。2)従来、日干しレンガ造の伝統住宅は車が侵入できない歩行者専用路の沿線に多く残っていると考えられてきたが、実際には自動車が侵入可能な道路と歩行者専用路の間に分布の差があまり見られないことが見えてきた。これは、伝統的景観の保全計画を立案するにあたり、重点地区を決めにくいということを示している。1)、2)に関しては、それぞれ研究成果を建築学会計画系論文週に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により、現在、来年度以降の研究計画を見直している。交付申請書の研究実施計画では、ヘラート旧市街地の住民意向調査として、地区の保全計画を住民に対する聞き取り調査から立案する計画としていたが、聞き取り調査ができない場合を想定し、地区の保全の意義を住民に啓蒙していく以下のような研究計画への変更を考えている。 1)ヘラート旧市街地の都市壁の文化財的意義をC14年代測定により示す。また、その都市壁がどのように破壊されてきたかを調査する。年代測定に関しては、名古屋大学宇宙地球環境研究所の助力を得る方向で調整を進めている。また、残存する都市壁の詳細な調査に関しては、ヘラート市文化財保護局の助力を得る予定である。 2)イギリスで出版された地震で壊滅的な打撃を受けたイラン・バム遺跡の復元に関する書籍の翻訳権を購入し、ペルシャ語に翻訳し、住民に対する啓蒙活動に利用する。ペルシャ語訳に関しては、ヘラート大学のKawish研究室が無償で担当する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、予定していた日本-ヘラート間の旅費40万円、聞き取り調査の人件費・謝金50万円を支出することができなかった。その代わりにパソコンとGISソフトを購入し、実態把握調査で得たデータを効率的に入力・処理する体制を整えた。来年度以降に関しては、聞き取り調査の代わりとなる研究計画を策定しており、当初の研究目的を達成することが十分、可能である。
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