2023 Fiscal Year Annual Research Report
アフガニスタン・ヘラート旧市街地保全のためのまちづくり計画案の策定
Project/Area Number |
20K04906
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
安藤 徹哉 琉球大学, 工学部, 教授 (60222783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘラート旧市街地 / 文化財的価値 / 日本建築学会論文集 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年8月のターリバーンによる政変以降、アフガニスタンでは住民による集会が禁止された。このため、当初計画で行う予定だった住民ワークショップは中止せざるを得なかった。そこで、ヘラート旧市街地および周辺地域の文化財的価値を示すために現地調査を行い、その研究成果を研究論文として日本建築学会計画系論文集に投稿した。採択された4編の論文の主な内容を下記に示す。 第一の論文は、ヘラート旧市街の現存する都市壁からサンプルを採取し、放射性炭素年代測定法を用いて分析を行い、初めてその建設年代を決定したものである。放射性炭素年代測定の結果、95.4%の信頼度で西暦441-649年(より可能性が高いのは西暦535-649年)の間に建設されたことが明らかになった。 第二の論文は、アフガニスタン西部ファラー地域に位置するラフタン村の家屋の建築的特徴と集落構成について検討したものである。分析の結果、ラフタン村の集落構成は気候、地形、村内のコミュニティグループと強く関連していることが明らかになった。 第三の論文は、ヘラート旧市街地のダーランの実態を調査したものである。分析の結果、ダーランの件数は1977-78年から2005-2006年の間に27%減少し、2005- 2006年から2019-2020年の間には54%が減少したことが明らかになった。また、27.1%にあたる16件が修理を必要としており、これが緊急の課題となっている。 第四の論文は、ドイツ人技師であるニーデルマイヤーが1915年に作成したヘラート旧市街地の地図の正確性を検証したものである。分析の結果、都市壁の距離的誤差は最大 3.1%であり、主要施設の位置もほぼ正確であることが明らかになった。こうしたことから、ニーデルマイヤーによるヘラート旧市街地の地図は極めて正確であり、すでに失われた都市壁や城門などの位置も信憑性が高いと考えられる。
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