2022 Fiscal Year Research-status Report
藺草栽培を通じた備後表の生産・流通・設計・施工プロセスの解明
Project/Area Number |
20K04913
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
佐藤 圭一 福山大学, 工学部, 教授 (60435378)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 藺草(イグサ) / 重要伝統的建造物群保存地区 / 畳 / 地域遺産 / 鞆町 / トレーサビリティ実証実験 / 備後表 / 備後表継承会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、消滅危機にある希少な備後藺草を露地において栽培実践することを研究方法の1つとする。協力農家や備後表継承会と共に、2022年7月に福山市本郷町の藺草圃場で前年11月に植えた藺草の刈り取りを行った。また、2022年11月には福山市本郷町で藺草の植え付けを行った。本研究着手前を含め、協力農家との藺草栽培の協働は、2022年の植え付けで7シーズン目である。国宝修理等にも指定され、最高級と謳われながら絶滅危機の備後表の継承には、統計に表れないミクロな実態把握がまず必要である。そのためには、藺草栽培から畳表生産・流通、建築設計・施工という藺草が建築化される全プロセスに関する実践研究が必要不可欠となる。 本研究に取り組むにあたり、2017年に備後表の保全と継承のための6つの論点をあげた。その1つが、「5.流動しない備後藺草1ha 程度の作付面積の維持」である。他の備後地域の農家と合わせ2022年7月の刈り取り時に2ha近くを確保したが、2022年11月の植え付け時には、また1haを切り依然不安定なままであった。すでに次年度を見据え、協力農家と共に、単独で1ha程度を維持できる体制を模索した。藺草栽培には、福山大学備後地域遺産研究会も協力している。 2022年7月には、福山市鞆町の重要伝統的建造物群保存地区内に近世建築の町家を借り受け、基礎調査を始めた。研究協力関係にある備後表継承会の鞆事務所をここに開設し、備後表を活用した建築実践やワークショップなどを計画し、備後表の情報発信拠点として整備しつつある。これまで本研究で実施してきた備後表のトレーサビリティ実証実験その1~4の次期実験対象でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で、遠隔地における藺草栽培や畳表製作の比較調査を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度からは、海外も含め遠隔地での臨地調査を積極的に実施してゆく。また、2022年度は実施できなかった、備後表のトレーサビリティ実証実験についても再開する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の社会状況において、遠隔地における調査旅費を計画通り執行できず、また調査補助・図版作成補助の謝金も計上していたが十分に執行することができなかったため。次年度は、海外も含め遠隔地における調査を積極的に行う。
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