2021 Fiscal Year Research-status Report
損傷や外乱の影響を受けるドローンダイナミクスのリアルタイムモデル化手法の開発
Project/Area Number |
20K04918
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
得竹 浩 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (80295716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロータ損傷 / 吹き下ろし速度 / 拡張カルマンフィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していた(目標1)故障モデルの定義,(目標2)故障モデルのリアルタイム同定,(目標3)同定に供するためのセンサシステムの開発のなかで,まず初年度にはむだ時間を状態空間表現し,拡張カルマンフィルタを適用することで吹き下ろし速度を推定する基本的なアルゴリズムを提案した(目標3).むだ時間は非線形モデルで表現され,状態空間モデルで表現した場合はむだ時間の値はモデル次数に反映される.モデル構造がむだ時間によって変化するため,既存の推定アルゴリズムの適用は困難である.そこで本研究ではむだ時間を状態変数に含む状態空間モデルを新たに構築した.一連のサンプリング点における観測量を状態変数に組み込み,任意のサンプリング点を抽出する窓関数を出力方程式とすることで,窓関数のモデルパラメータで時間遅れを表現することを可能とした.このモデル構造を線形化することでカルマンフィルタなどの既存の推定アルゴリズムが適用可能である.そしてロータ下部に超音波発信機および受信機を配置し,観測した超音波の送受信信号に適用することでロータ下部の吹き下ろし速度分布の推定に成功した.2年度はそれを発展させ,損傷したロータの吹き下ろし速度推定に適用した.そこではむだ時間の推定精度を向上させるため,推定むだ時間に誤差があると観測信号とモデル出力の間に大きな差が発生する特徴的なコマンド信号を超音波発信機に入力している.その結果,ロータの物理的損傷による吹き下ろし速度分布の特徴量変化と整合した推定結果が得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(目標1)故障モデルの定義,(目標2)故障モデルのリアルタイム同定,(目標3)同定に供するためのセンサシステムの開発のなかで,本年度は目標1および3を実施した.いくつかの物理的な損傷を有するローターの吹き下ろし速度に対して超音波と拡張カルマンフィルタを使った提案手法を適用した.そこではむだ時間の推定精度を向上させるため,推定むだ時間に誤差があると観測信号とモデル出力の間に大きな差が発生する特徴的なコマンド信号を超音波発信機に入力している.その結果,ロータの物理的損傷による吹き下ろし速度分布の特徴量変化と整合した推定結果が得られることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度,2年度においては,超音波と拡張カルマンフィルタを使った吹き下ろし速度の推定システムの構築と(目標3)正常なロータと,2種類の物理的な損傷を有するロータについての流速分布の測定及び提案手法の適用を行った(目標1).最終年度はさらに損傷の程度を変更させて同様の試験を行い,提案手法が損傷の推定に有用であることを確認する.また,推定された吹き下ろし速度と誤差共分散行列の時間履歴を詳細に検討し,損傷の有無だけではなくより詳細な情報を推定するアルゴリズム構築を試みる.さらに実装システムを想定して,損傷推定アルゴリズムを整理して計算負荷を減少させることも試みる(目標2).
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