2022 Fiscal Year Annual Research Report
損傷や外乱の影響を受けるドローンダイナミクスのリアルタイムモデル化手法の開発
Project/Area Number |
20K04918
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
得竹 浩 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (80295716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 損傷検出 / マルチロータ機 / 吹き下ろし速度推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目標として(目標1)故障モデルの定義,(目標2)故障モデルのリアルタイム同定,(目標3)同定に供するためのセンサシステムの開発を掲げた. まず相対する経路を持つ二組の超音波センサの送受信機をロータ下部に配置して,超音波の伝播時間差から音速情報を用いずに吹き下ろし速度を検出するセンサシステム構成を提案した(目標3).しかしロータ下部の流れは乱れが強く,受信波形の信号レベルがしきい値を超えることで伝播時間を計測する通常の手法では正確な到達時間を得ることができない.そこで外乱入力を含む超音波伝播モデルを新たに構築し,計測した信号から伝播時間を推定する実装に適した逐次的アルゴリズムを構築し(目標2),2.7%の誤差で計測できることを確認した.次に構築した吹き下ろし速度推定システムをロータ・ブレード先端が欠けた損傷の検出に応用した.スモークを使った流れ場の可視化実験より,ブレード先端から流れ出る渦の経路が損傷ブレードと正常なブレードとで異なり,超音波経路上の吹き下ろし速度がロータの位相によって大きく変動することを明らかにした.また,熱線流速計の計測結果を周波数解析することで,損傷の程度によって支配的な周波数成分とその大きさが異なることがわかった.そこで超音波を使った吹き下ろし速度推定値を用いてそれらの特徴を評価する指標を新たに提案し,実験により検証した.その結果,ブレード先端がロータ直径の0.9%欠けた場合でも指標の値が大きく変化し損傷検出が可能であることがわかった.さらにホバリング中にロータ直径の0.9%が欠ける事象を想定した超音波受信信号に対して損傷推定アルゴリズムを適用すると,損傷開始から約0.02s後に損傷を検出できることが確認できた.目標1については,ロータ・ブレードの損傷による流れ場の影響を理解し検出することはできたが,制御に供するモデル構築は今後の課題として残った.
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Research Products
(2 results)