2021 Fiscal Year Research-status Report
超磁歪素子を用いた精密形状制御を可能とする革新的スマートテンセグリティ構造の開発
Project/Area Number |
20K04929
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
川畑 成之 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (70390507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槙原 幹十朗 東北大学, 工学研究科, 教授 (60392817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テンセグリティ構造 / 超磁歪素子 / 精密形状制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はテンセグリティ構造に超磁歪素子を用いた張力制御ユニットを搭載した,スマートテンセグリティ構造を開発し,数値シミュレーションと実験の両面からその有効性を実証して,次世代宇宙構造物技術の実現に資する成果を示すことが目的である. テンセグリティ構造の設計・製作の困難さに起因する形状精度や強度の低下により実用化はほとんどなされていないところであるが,当研究グループで取組んできた展開型,適応制御型のテンセグリティ構造に関する知見と,構造要素として十分な剛性と強度を有しながら大きな磁歪効果を生じる超磁歪素子を活用して,張力精密制御ユニットを新規に開発し,スマートテンセグリティ構造システムの実現を目指す. 研究計画2年目である2021年度は昨年度までに開発を進めていた超磁歪素子を用いた張力制御ユニットの基礎的実験を継続して進めるとともに,ユニットの改良とユニットを搭載したテンセグリティ構造モデルの設計製作を進める.基本的な実験を速やかに進めるために3Dプリンタを活用したモデルの製作を進め,機能を検証したのちに高剛性の最終製品を製作する. ユニットの改良においては,初年度に課題があった強度を向上させるために3Dプリンタでの製作材料をPLAからCFRPに変更し,比強度を改善することができた.また,形状も一部改良し,滑らかな動作が可能となった.テンセグリティ構造モデルの設計開発においては最小要素数で構成される構造様式を採用し,シンプルなシステムで形状制御実験を行うための準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画2年目である2021年度は昨年度までに開発を進めていた超磁歪素子を用いた張力制御ユニットの駆動実験を継続するとともに,性能向上のための改良を進めてきた.また,ユニットを組み込んだテンセグリティ構造モデルを設計開発し,スマートテンセグリティ実証実験の準備を進めている. ユニットの改良においては引き続きシミュレーションソフトを活用しながら,最適設計を進め,駆動効率の向上を実現した.しかしながら理論値と実験値の間にはまだ大きな乖離があり,さらなる駆動効率の向上が求められる. テンセグリティ構造モデルの設計開発においては,圧縮材3本,張力材9本を備えた最もシンプルな形式を採用し,ユニットの効果を測りやすい構造モデルを開発した.本構造モデルはユニットによる微小形状制御に加え,ウォームギヤを活用した張力材の大変位も可能となっており,様々なレベルの変形制御を検討するためのモデルとなっている.構造モデル設計において,張力材固定部品を新たに開発し,採用することとしたが,初期モデルに強度上の課題が発見され,現在改良版の開発を進めている. 以上のように,多少の課題が生じているものの,最終年度に実験的検証を進めるために必要な要素の開発は順調に進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
開発中の構造モデルにおいて,多少の課題が生じつつも改良を加えながら実験的検証を実施するための準備が整いつつある.以上のことから申請時の計画を大幅に変更することなく,継続して研究を遂行していくこととする. 一方で張力制御ユニットに採用している超磁歪素子の入手性が2021年度から大幅に低下し,今後ユニットの改良を行う場合に困難が伴う可能性がある.本課題の遂行では大きな問題にはならないと考えているが,異なるデバイスの採用を検討するなど,将来の実用化に向けては新たな構想が必要となる可能性がある.
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Causes of Carryover |
構造モデルの設計製作において基本的実験モデルの製作にとどまったため,自立制御システム関連の要素導入までに至らなかったことにより,モーター,コントローラ,電源等の購入を2022年度に実施する. また,コロナ感染拡大の影響を受け,ほとんどの学会がオンライン開催に変更されたことに伴い,旅費の使用が無かったため次年度使用額が生じている.2022年度は現地開催の学会も予定されていることから成果発表に旅費を利用する計画としている.
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Research Products
(3 results)