2021 Fiscal Year Research-status Report
元素添加ダイヤモンドライクカーボン膜を用いたフジツボ類の付着防除に関する研究
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20K04934
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾関 和秀 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (20366404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DLC / フジツボ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度も令和2年度に引き続き、フッ素源の四フッ化炭素及びケイ素源のヘキサメチルジシロキサンを用いて親水性、疎水性を付与したダイヤモンドライクカーボン膜の作製を行った。四フッ化炭素の比率を0~80%付与したフッ素DLC膜とヘキサメチルジシロキサン比率を0~40%付与したシリコンDLC膜の作製を行い、フジツボ付着実験及び耐摩耗性の評価を行った。なお、シリコンDLC膜については、さらに親水性を高めるため、酸素プラズマを付与したシリコンDLC膜も作製した。 フジツボ付着試験においては、タテジマフジツボの幼生を研究室内で飼育し、そこからキプリス幼生に変態し、加齢処理を行ったものを用いた。フジツボ試験は予備試験及び本実験を行った。各サンプル上に一定数のキプリス幼生を播種し、5日間の付着数を計測した。実験の結果、DLCを成膜していないステンレス基板の付着率が32%だったのに対し、DLCを成膜した膜では13%に減少した。シリコンDLC膜では、シリコン含有量の増加と伴に付着率は減少し、最小で7%となった。フッ素DLC膜においては、四フッ化炭素比率60%の膜において、3%を示した。さらに、シリコンDLC膜に酸素プラズマを行ったDLC膜では、1%の付着率を示したことから、酸素プラズマ処理を行ったDLC膜はフジツボ付着低減に効果が高いことが明らかとなった。 一方、耐摩耗性試験では、フッ素、シリコンとも含有量の増加と伴に耐摩耗性は減少した。特に酸素プラズマを行ったDLC膜の耐摩耗性が大きく減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度にフジツボの飼育で遅れが発生したが、令和3年度では、フジツボの飼育を行うことができ、フジツボ付着試験の本実験まで行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度において行ったフジツボ付着試験においてキプリス散布数やサンプルの静置方法等の改善すべき点があったため、実験方法の最適化に関してさらに検討を加える予定である。 また、パターン化したDLC膜に関しても、具体的なコーティング手法を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
分析費用に関して想定よりも、分析回数が少なかったため、若干の残額が生じた。 次年度は、詳細な結果が得られるよう、分析を十分に行って、今年度分の残額を活用していく。
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Research Products
(1 results)