2022 Fiscal Year Research-status Report
元素添加ダイヤモンドライクカーボン膜を用いたフジツボ類の付着防除に関する研究
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20K04934
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾関 和秀 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (20366404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DLC / フジツボ / パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、ステンレス製のマスクパターンを作製し、パターン状のDLC膜の作製を試みた。パターン幅が200μmと500μmのくし形のパターンDLC膜を作製し、DLCの膜厚を50~300nmに設定した。 基板との密着性試験では、パターンDLC膜の方がパターンなしのDLC膜に比べ、密着力が低下する傾向が見られ、膜厚が大きいほど密着力が低下する傾向が認められた。これは、膜をパターン状にすることで、DLC膜と基板との接触面積が減少したことが要因と考えられる。 Ball-on-disk試験では、パターン状DLC膜の方がパターンなしのDLC膜に比べて、摩擦係数が低下することが明らかとなった。これは、試験時に発生する摩耗粉がパターンの溝に入ることで、摩耗粉が排出されていることが要因と考えられた。 フジツボの付着実験では、容器内側にこれらのパターンDLCが成膜された20mm×20mm×10mmのボックスを作成し、その中にフジツボの幼生であるキプリス幼生を散布して、付着率の測定を行った。なお、今回の実験ではパターンのみの影響を評価するため、成膜したDLCは、元素添加を行っていないDLC膜を用いた。実験の結果、パターン状DLC膜のキプリス幼生付着率は、パターンなしのDLC膜のそれよりも高い傾向を示し、パターンの有効性が認められなかった。この要因として、キプリス幼生の触覚幅とDLC膜のパターン幅が適切でなかった可能性が考えられた。キプリス幼生の触覚幅が30μm程度であるのに対して、200μmのパターン幅が大きいと考えられる。今後は、パターン幅を小さくしたパターンDLC膜の検討を行う必要があると結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和5年度に計画していたパターンDLC膜の作製に、前倒して令和4年度に取り掛かれたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度で課題となったDLC膜のパターン幅の改善を検討し、ケイ素・フッ素添加のパターンDLC膜の作製も試みる予定である。これらのDLC膜を用いて、フジツボ付着率の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マスクパターン作製に関して、想定よりも若干価格が下回ったため、残額が生じた。 次年度は、微細マスクパターンを製作予定のため、それらに残額を充当する予定である。
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