2023 Fiscal Year Research-status Report
元素添加ダイヤモンドライクカーボン膜を用いたフジツボ類の付着防除に関する研究
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20K04934
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾関 和秀 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (20366404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DLC / フジツボ / パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の結果から、パターン幅の縮小及び膜厚の増加が必要であることが明らかとなったため、令和5年度は、ステンレス製マスクパターンの幅を狭めて、パターン状DLC膜の作製を試みた。パターン幅を50μmと200μmのくし形のパターンDLC膜を作製した。また、DLCの種類には、シリコンとフッ素を添加した元素添加DLC膜も加えて、膜厚を1~3μmとした。 フジツボ付着試験においては、パターン幅の減少及び膜厚の増加に伴い、フジツボの付着数が減少することが明らかとなった。また、元素添加においては、シリコン及びフッ素を添加したDLC膜において、50%程度のフジツボの付着低減効果が認められた。DLC膜表面に酸素プラズマ処理を行ったサンプルにおいては、元素添加の有無にかかわらず、3%以下の高いフジツボ付着低減効果が認められた。 しかし、酸素プラズマ処理の効果は時間とともに低下し、シリコン添加DLC膜及びDLC膜においては、4週間後のフジツボ付着率は20%以上となることが明らかとなった。一方、フッ素添加DLC膜においては、4週間後のフジツボ付着率は15%となった。接触角測定においても、プラズマ処理直後は10°以下であるが、空気中で4週間放置した膜は40°以上となっており、フジツボ付着率と親水性との傾向は一致した。 摩擦試験においては、膜厚を増加させることで、摩擦係数が増加や膜の剥離が発生しやすくなることが明らかとなり、フジツボ付着低減効果とはトレードオフの関係にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度に計画していた元素添加のパターンDLC膜を作製し、フジツボ付着評価及び機械的評価を行う事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、当初の計画の通り、複数のDLC膜のパターン形状を作製し、パターンの幅や種類によるフジツボ付着低減効果を調査していく。
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Causes of Carryover |
マスクパターン作製に関して、想定よりも若干価格が下回ったこと、また分析の回数が想定を下回ったため、残額が生じた。 次年度は、残額も十分に活用していく予定である。
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