2023 Fiscal Year Annual Research Report
Long Distance Underwater Wireless Optical Communication System using Visible Light Laser Array with Directivity Control Function
Project/Area Number |
20K04937
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 一彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40402086)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水中光無線 / 可視光レーザー / 可視光LD |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ギガビット級の高速水中光無線通信システムの実用化に向けて,通信距離延伸化への寄与が期待できる,送信光ビームに指向性制御機能を持たせることを目的として,可視光LDアレイの有効性を実験的に検討している.このために,昨年度の課題であった光軸ずれ解消のために新たに導入したファイバピグテール射出型の半導体LDを活用し,精密なビームステアリング実現のための実験を行い,受信信号のSN比の劣化に対する改善策を試行した.使用した半導体LDのファイバピグテール部にはシングルモードファイバが用いられているため,空間フィルタと同様にビームプロファイルを整形することが可能であり,実際に原理確認実験を行った結果,ほぼ真円の受信ビームプロファイルを確認した.製品選定の関係で,LD単体のSN比は従来の自由空間型半導体LDよりも劣化してしまったが,清水中で,2個のLDを利用してのマルチビーム伝送時の受信信号SN比は約+3dBと想定通りの改善が見られた. 濁水中での通信路検討においては,濁度標準液(カオリンおよびホルマジン含有)を用いて,長さ10cmの小型水槽を多数並べることで距離可変の濁水通信路を構築し,実験を行った.この実験により,飲料可能な濁度3度であっても,1m当たり約14dBもの減衰が生じることが確認され,想定よりも大きな吸収があることが明らかになった.一方で,濁水中で前述の2個のLDを用いたマルチビーム伝送を行った場合でも約+2dBもの改善が認められた.清水中と比べて改善SN比が下がっている点については,濁水中での光散乱によるビーム拡散が原因と考えており,今後,より詳細な原因究明とその対策の検討が必要である.
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