2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of a reactivity controlled compression ignition engine fueled with ammonia and diesel
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20K04946
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
仁木 洋一 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10511587)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代替燃料 / アンモニア / 反応性圧縮着火燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、ディーゼル機関の給気にガス状のアンモニア(NH3)を供給することで、軽油とNH3を用いたRCCI(反応性制御圧縮着火)燃焼を用いてエンジンを運転した。また、エンジン内の軽油とNH3の燃焼を解析するために、流体数値計算ソフト(OpenFOAM)を用いた研究開発を実施した。さらに、NH3を液状で供給する装置を製作し、液化NH3をディーゼル機関の吸気に供給することで軽油とNH3の混焼運転を実施した。 ディーゼル機関を用いた実験では、混焼率(NH3と軽油の供給熱量割合)45%程度において、RCCI燃焼によって未燃NH3や温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)を低減させたまま、軽油の噴射回数を2回に分割することで、排気中の一酸化炭素(CO)や未燃炭化水素(HC)を低減する効果が得られることを確認した。関連する成果を米国機械学会が主催する国際学会(ICEF2021)にて発表した。 流体数値計算ソフト(OpenFOAM)を用いた解析では、エンジン内の燃焼室のモデルを作成し、軽油相当の着火性を持つヘプタンを燃料として、エンジン内の燃焼を模擬する計算を行った。その結果、燃料の着火・燃焼による筒内圧力の変化において実験結果と概ね一致した。また、ヘプタンとNH3を混合した場合の燃焼反応を模擬するために、ヘプタンとNH3の化学反応機構の組合せに着手した。 NH3を液状で供給する装置を製作・設置し、確認のため混焼率70%程度において軽油とNH3の混焼運転を実施した。その結果、1時間程度ではあるが安定して高い混焼率で実験が可能であることが分かった。また、液化NH3の気化によって吸気の温度が下がり、排気中のN2Oが増加することが明らかになったため、給気の過度な温度低下を防ぐために、熱交換器により保温する装置を追加した。吸気の保温により排気中のN2Oの増加を抑制することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度未達であったNH3を液状で供給する装置を製作・設置しており、動作確認も終了した。次年度から、本供給装置を用いた実験が可能となった。また、燃焼解析においても、燃焼室モデルを作成し化学反応機構の作成に着手しており、解析手法としての利用に目処が立っている。さらに、主目的である軽油とNH3を用いたRCCI(反応性制御圧縮着火)燃焼の実験は順調に進展している。よって、おおむね順調に進展している評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ディーゼル機関に設置したNH3を液状で供給する装置を用いて、NH3の供給割合を高めた状態において、軽油とNH3の混焼によりエンジンを運転する。NH3供給割合が高くなると未燃NH3やN2Oの排出が増加することが予測されるため、未燃NH3やN2Oの低減策として、RCCI(反応性制御圧縮着火)を用いた燃焼を実施する。また、実験と平行して、流体数値計算ソフトを用いてエンジン内の燃焼を模擬する計算を行い、未燃NH3やN2Oの低減機構を解明し、未燃NH3やN2Oの低減に有効な方法を検討する。 また、軽油の噴射の多段化やNH3噴射の、噴射タイミングや噴射回数、噴射期間をより正確に制御し、安全に実験を実施するために、現状のマイコンを用いた噴射制御機器から、高速信号処理に対応したシーケンサを用いた制御機器へ更新する。
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Causes of Carryover |
液体NH3の供給装置及び噴射装置の制作時に部品毎に設計図面を作成し、部品の加工・製作のみの依頼としたため、当初見込んでいたよりも低価格で液体NH3の供給装置及び噴射装置が完成した。 繰り越し分は、軽油とNH3の噴射の制御を高度化するための制御機器を更新する費用に充てる。具体的には、軽油とNH3に対してそれぞれ個別のマイコンを使用している現状から、高速で信号の入出力が可能なシーケンサを用いて、軽油とNH3の制御を統合する。これにより、より安全かつ円滑に実験を実施することが可能となる。
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