2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on steady wave forces and the moment acting on drifting ships and the effects on the prediction of ship manoevring motion in waves.
Project/Area Number |
20K04947
|
Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
鈴木 良介 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (20711328)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 船舶海洋工学 / 船舶操縦性能 / 操縦運動計算 / 波浪中操縦性能 / 定常波力 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、直進時と斜航時の定常波力の違いが与える波浪中操縦運動推定への影響について調査をした。これは、平水中の操縦運動計算法に定常波力を加えた従来の簡便な計算法による推定結果を基に評価を行った。その際の定常波力には直進時と斜航時いずれも、初年度の拘束模型試験結果を採用した。また、この操縦運動推定結果を初年度(前年度)に実施した模型船ならびに実船舵効き状態での自由航走試験結果と比較し、定常波力の斜航影響の考慮によって運動推定精度がどの程度改善されるか検証をした。その結果、短波長規則波中保針航行時の操縦運動について、実船の舵効き状態では定常波力の斜航影響を無視した場合に、当舵や斜航角を過大推定することが明らかとなった。 第二に、既存の短波長域を対象とした斜航時の定常波力計算法(上野ほか、2000)に注目し、その方法ついて、波の作用量(wave action)の保存則から導かれる船体の近傍と遠方における波振幅の関係式を理論的に修正を行った。また、初年度の拘束模型試験結果と比較・検証を行うことで、従来の推定法よりも定常波力の船速影響や斜航影響をより合理的に考慮できるようになることを明らかにした。 これまでの波浪中の操縦運動計算では、模型船舵効き状態での自由航走模型試験との比較から、定常波力は停止時や直進時の値で代表できると認識されてきたが、当該年度の研究によって、より舵効きが悪く波の影響を受けやすい実船の操縦運動計算においては、定常波力の斜航影響を無視できない可能性があることが示されたため、その成果は大変重要である。また、斜航時の定常波力推定法は、その研究・検証例も少ないため、当該年度の研究は既存の方法を基にしながらも、その推定精度を向上させるため、大変意義があるものと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画で、今年度の目標は、(1)直進時と斜航時の定常波力の違いが与える波浪中操縦運動推定への影響を明らかにすること、(2)既存の方法を改良することで斜航影響をより適切に考慮し得る定常波力の推定法を提案すること、の2点であり、上記の「研究実績の概要」の通りこれらは達成することができたため。また、前年度(初年度)の進捗も計画通りであったため。 なお、(2)については、波の作用量(wave action)の保存則の観点以外にも、改善の余地がある点が含まているが、(2)の提案は、当初の研究実施計画で次年度(最終年度)途中まで、を予定しているため、現時点での進捗は順調であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、当該年度に行った、既存の方法を改良することで斜航影響をより適切に考慮し得る定常波力の推定法を提案を、継続して行う。当該年度は、波の作用量(wave action)の保存則に注目した改良を実施したが、次年度は、更に別の観点として、船体近傍の流れのモデルの高精度化を行う。具体的には、流れの粘性を考慮したCFD(computational fluid dynamics)による計算結果を反映することを検討している。 次に、これらの改良を施した定常波力推定法を用いた操縦運動計算によって、どれ程の精度で船体運動を推定可能か検証する。その後、本操縦運動計算法を用いて、船舶機関出力の変化が波浪中操縦運動へ与える影響について評価を行う。
|
Causes of Carryover |
当該年度に実施した、既存の斜航時の定常波力計算法の修正は、理論的な検討が多くその推定計算結果の取りまとめ等のための研究協力者は不要であったため。 次年度は、CFD(Computational fluid dynamics)も利用し、数多くの数値計算を実施していく予定であるため、計算機およびその消耗品、計算結果取りまとめ等のための研究協力者人件費(謝金)に使用していく予定である。また、最終年度として当該研究の成果を、論文で公開していく予定であるため、学会参加費ならびにその旅費、学術誌の論文投稿料に使用する。
|