2020 Fiscal Year Research-status Report
漁船の健康寿命を守るマルチコプター型 状態監視・診断ロボットの開発
Project/Area Number |
20K04957
|
Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
太田 博光 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (80399641)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 漁船 / 診断 / 新合成波形分離法 / マルチコプター / 機械診断ロボット / 音響診断システム / メンテナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
大型船舶に比べメンテナンスが行き届いていない漁船では機関や循環ポンプ等,周辺機械設備の損傷を早期に診断し,健康寿命を守る高精度な状態監視・診断システム(本診断システムと略)が必要である.本研究ではこの様な診断システムを開発することを目的とする.さらに開発した診断システムをマルチコプター型の自律無人航空機に搭載することで短時間に複数の船内機械設備の状態監視・診断を自動的に行うロボットの開発を行う.具体的には研究代表者が2019年度までに実施している基盤研究(C)「漁船の健康寿命延長を実現する次世代型状態監視・診断システムの開発」において開発した既存の診断システムに今回,提案する新たな信号処理手法を用いることで大幅な診断精度と実用性の向上を実現する.さらに本診断システムを搭載したマルチコプター型 自律無人航空機を状態監視・診断ロボットとすることで機関室等での診断業務の高精度化,省人化,自動化,短時間化を実現する.2020年度は漁船の機械要素として損傷の多い転がり軸受,歯車,滑り軸受,ピストン-シリンダ機構を取扱う.損傷が発生した際に回転周波数成分を励起する固有振動数帯の同定を行う.本診断システムは既存法である「パラボラ集音マイクロホンと合成波形分離法」の特長である集音効果と複数の音源同定機能を生かしつつ,回転周波数成分の抽出法である合成波形分離法に新たな信号処理手法を加え,更なる高い診断精度と実用性の向上を実現している.本研究では「新合成波形分離法」と呼んでいる.新合成波形分離法には回転周波数成分を励起する固有振動数帯の同定,抽出を行う機能も含まれており,これらの手法を最適化することで,飛躍的に診断精度の向上が実現している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から大きく遅延することもなく,順調に進んでいると考えられる為.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は本診断システムを無人航空機に搭載し,漁船の機関室を想定した室内での自律航行と診断対象機械に対する正確な照準合わせ法を確立し,有効性を検証する. 漁船の機関室内での使用を前提としているためGPS(Global Positioning System)による誘導は困難かつ精度不足である.今回,精度の良い位置情報を得るためのツールとして簡易マーカーの使用を予定している.壁面に簡易マーカーを貼り,無人航空機に搭載されたカメラから,そのマーカーが指示する情報を受け取り,飛行制御に利用する.例えば上昇,水平移動,左右旋回,音響測定,着陸等,各マーカーを実験空間の適切な場所に貼付け,その位置で指定された動作を行う.音響測定時にはパラボラマイクの焦点が合う正確な位置に簡易マーカーを貼ることで本無人航空機を誘導し,精度の良い位置情報を得る事ができる.音響測定終了後,本無人航空機はプログラムされた定点に着陸する.音響データは搭載されているWiFi送信機で地上のノートパソコンに送信され,昨年度完成した音響診断プログラムにより診断が行われる計画である.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,新型コロナウィルス感染防止対策として,研究成果発表および共同研究打合せに伴う出張を抑えた為その旅費の支出が大幅に減った事が挙げられる。現在のところ,本繰越金の使用目的に変更なく,2021年度以降の出張旅費に使用する予定である.
|
Research Products
(8 results)