2022 Fiscal Year Research-status Report
環境投資が社会的厚生に与える影響を考慮した環境政策の評価に関する研究
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20K04958
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後藤 允 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 准教授 (30434286)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リアルオプション / 環境投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 昨年度に引き続き,本研究の応用として,感染症リスクの制御問題の分析を進めた.具体的には,集団免疫閾値の概念を導入し,リアルオプション問題との関係を分析した.この成果は,日本経営工学会2022年春季大会にて発表した. 2. 環境投資の事例として,発電容量への投資問題を分析した.具体的には,発電事業者の問題を,発電容量から得られる利益の現在価値を最大とする投資時刻を求める最適停止問題といて定式化した.結果として,価格のボラティリティ,ジャンプ強度やサイズが大きくなるにつれて,投資を抑制することが分かった.この成果は,2022年度数理解析研究所共同研究(公開型)「ファイナンスの数理解析とその応用」にて発表した. 3. 本研究の応用として,不確実性下の複占市場における生産柔軟性をもつ企業の設備投資を分析した.具体的には,競争と不確実性が存在している市場を想定し,リアルオプション法を用いて投資タイミング閾値と投資された設備の規模をモデリングすることにより,生産量の可変または固定な2企業に対してそれぞれの最適な投資戦略を分析した.結果として,可変企業が先発優位性を保つことを発見した.この成果は,日本リアルオプション学会2022年研究発表大会にて発表した. 4. 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)の共同研究から引き続き,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続した.ただし,コロナ禍の影響で対面の交流はできなかったため,オンラインにて実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にあるように,昨年度に引き続き,本研究の応用として感染症リスクの制御問題の分析で進捗が得られた.さらに,環境投資の事例として発電容量への投資問題を分析し,応用問題として不確実性下の複占市場における生産柔軟性をもつ企業の設備投資を分析した.また,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続することもできた.よって,研究は予定通り順調に進行していると結論づけた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり,これまでに定式化した問題にレジームスイッチを導入し,制度設計の不確実性を考慮したRPS目標値を求める.確率論的厳密性を確保するために,レジームスイッチにおける企業の投資行動を厳密に分析したGuo et al. (2005)の定式化を参考にする.このモデルで問題なく数値計算アルゴリズムが構築できれば,競争環境を追加した問題にレジームスイッチを導入する.その際,競争環境にレジームスイッチを導入して企業の投資行動を分析した研究業績を利用する.また,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,国内旅費・外国旅費の執行ができなかった.翌年度以降に状況を見ながら,積極的に研究成果発表と研究打ち合わせを実施して予算を執行していく.
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