2021 Fiscal Year Research-status Report
信用リスクの伝播メカニズムの理論的探究と機械学習手法を用いた実証分析
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20K04960
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| Research Institution | Hitotsubashi University |
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Principal Investigator |
中川 秀敏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30361760)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 英行 東邦大学, 理学部, 准教授 (00637423)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 信用リスク / リスク伝播モデル / 情報アプローチ / 機械学習 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の中川と研究分担者の高田は、前年に取り組んだ、信用リスクの伝播メカニズムをモデル化するためにBrody-Hughston-Macrina(2010)が提唱した「情報アプローチ」の拡張モデルの２企業の場合における割引債価格への応用研究について共著の英語論文にまとめて査読誌に投稿中であるが、確率微分方程式の表現法などに改善ができたことや導出された変数についての踏み込んだファイナンス的解釈ができたため、若干改訂したバージョンをワーキングペーパーとして公表した。また、この研究について国内学会1件、研究セミナー3件の発表を行った。
また、2企業版の情報アプローチをファースト・トゥ・デフォルト(FtD) スワップと呼ばれる複数企業の信用リスクを対象とするクレジットデリバティブの分析にも応用し、Bielecki-Jeanblanc-Rutkowski(2008)が示したFtD理論プレミアムが従う「平均」回帰的な確率微分方程式におけるドリフト項およびマルチンゲール項を、情報アプローチの適用によってより具体的な形に書き下すことに成功し、デフォルト相関の観点からよりFtD理論プレミアムのダイナミクスについての理解が進んだ。この応用研究について国内学会で1件発表を行った。
さらに、機械学習を用いた信用リスク研究事例の資料収集を行うとともに、機械学習手法を用いた倒産リスクの実証分析のために、倒産企業と非倒産企業の3期分の財務データを購入して、分析用のデータ加工と基礎的分析を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「情報アプローチ」の拡張モデルについての共著論文について再投稿後1年近く採否の連絡がない。2回ほどジャーナルのエディターに打診していて近く判断がされるという連絡は来ているが、現時点では結果は出ていない。
また、研究代表者の中川と研究分担者の高田もそれぞれ別時期に、新型コロナウィルス感染症の影響により1か月程度自宅待機を余儀なくされたこともあり、関連研究の資料収集は自宅からでもできたものの、データ分析などは大学の計算機資源へのアクセスができなかったこともあり予定通りに進められなかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
「情報アプローチ」をFirst-to-Default(FtD) swapの分析に応用した研究に関して、FtD理論プレミアムが従う確率微分方程式の係数の符号に関する理論的課題を解決できれば、論文としてまとめることができる予定なので、それをまず目指す。本件については、国内だけでなく状況が許せばオンライン開催での国際学会での発表などを検討したい。
また、機械学習を用いた企業の決算データの時系列情報を用いた倒産リスクおよびリスク伝播についての実証分析も行い、ワーキングペーパーにまとめるとともに国内学会で口頭発表できればと考えている。
さらに、「情報を忘れる」という性質をHawkes過程に組み入れたモデルへの発展の可能性についてもサーベイを行い、モデル構築と理論的な研究に着手したいと考える。
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| Causes of Carryover |
2020年度に続いて、2021年度も新型コロナウイルス禍によって、参加予定であった国内外の学会参加のための旅費や、専門知識の提供に対する謝金などが、予定どおり支出できなかったために残額が生じた。
2022年度も状況によるが、過去2年間実施できなかった国内外の学会参加を計画して支出する。また年度の早い段階で分析データの追加購入を検討する。
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Research Products
(2 results)
