2021 Fiscal Year Research-status Report
不確実状況下における多目的非ゼロ和ゲームに対する意思決定
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20K04966
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢野 均 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (00166563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多目的二人非ゼロ和ゲーム / 対話型意思決定 / 均衡解 / 基準メンバシップ値 / 重み付けチェビシェフノルム法 / 可能性測度 / 必然性測度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファジィランダム変数係数を利得とする二人非ゼロ和ゲームを取り扱うために、可能性測度と必然性測度に基づく均衡解概念を定義した。定義した均衡解を導出するためのアルゴリズムを提案した(Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics 25, 6, pp.1024-1030 2021年11月)。定式化した問題の多目的への自然な拡張として、ファジィランダム変数係数を利得とする多目的二人非ゼロ和ゲームを定式化し、ファジィ決定に基づく均衡解概念を導入し、均衡解を導出するためのアルゴリズムを提案した(Proceedings of IMECS2021 pp.228-233, 2021年10月)。本研究に対して、最優秀論文賞(Best Paper Award of The 2021 IAENG International Conference on Operations Research)が授与された。一方、ファジィ変数係数を利得とする多目的二人非ゼロ和ゲームに対しては、基準メンバシップ値と可能性測度に基づく均衡解概念を導入し、均衡解集合の中からプレイヤーの満足解を導出する対話型アルゴリズムを提案した(Proceedings of IFSA2021, Atrantis Studies in Uncertainty Modelling, vol 3, pp.330-337, Atlantis Press 2021年09月)。さらに、同様の多目的二人非ゼロ和ゲームに対して、重み付けチェビシェフノルム法と必然性測度に基づく均衡解概念を導入し、均衡解集合の中からプレイヤーの満足解を導出する対話型アルゴリズムを提案した(Proceedings of FCTA2021, pp159-166, 2021年10月 )。本研究に対して、最優秀論文賞(Best Paper Award of 13th International Conference on Fuzzy Computation Theory and Applications)が授与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内のみならず海外のジャーナルにおいても、ファジィ環境における二人非ゼロ和ゲームは、特殊な場合を除いて、全く取り扱われてこなかった。その理由は、たとえ均衡解を定義しても、均衡解を求める問題を取り扱うことが、数値計算上極めて困難であることによる。この問題を解決するために、本研究では、メンバシップ関数空間の均衡条件をある条件のもとで、期待利得空間における均衡条件に置き換えるという画期的な手法を見つけ出した。この手法を基礎として、ファジィ利得を持つ多目的二人非ゼロ和ゲームに対する均衡解概念を提案し、均衡解を導出する対話型アルゴリズムを開発し、提案アルゴリズムを数値例に適用し、均衡解集合の中から満足解を導出することができることを示した。同様に、ファジィランダム変数係数を利得とする二人非ゼロ和ゲームに対しても、均衡解概念を提案し、均衡解を導出するアルゴリズムを開発し、提案アルゴリズムを数値例に適用し実際に導出可能であることを示した。以上の通り、研究テーマに対して着実に実績を上げている。また、上記研究論文を発表した2つの国際会議において、それぞれ、最優秀論文賞が授与されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、ファジィ利得を持つ多目的二人非ゼロ和ゲームに対して、2種類の均衡解概念を提案し、基準メンバシップ値や重み係数に依存する任意の均衡解を導出するアルゴリズムを開発したが、提案アルゴリズムでは各種パラメータ(ステップ幅と終了条件のパラメータ)の設定が難しく、均衡条件を完全に満たす解(均衡解)に収束する時間が長いという問題点があった。今年度は、これらの問題点を解決するための新しい手法を開発する予定である。このような問題が発生する原因の一つとして、非線形制約条件を持つミニマックス問題を解くことが極めて困難であることが考えられる。そこで、今年度は、効率的に均衡解に収束するアプローチの開発に重点をおいて研究を進める
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Causes of Carryover |
理由:コロナ対応のため、3件の国際会議(International MultiConference of Engineers and Computer Scientists (IMECS2021), International Fuzzy Systems Association (IFSA2021), International Conference on Fuzzy Computation Theory and Applications (FCTA2021))が取りやめとなり、ZOOMやMSTeamsによるオンラインでの開催となった。 使用計画:今年度、国際会議および国内学会への学会出張費・論文投稿費用等に使用予定である。
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Research Products
(6 results)