2022 Fiscal Year Research-status Report
不確実状況下における多目的非ゼロ和ゲームに対する意思決定
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20K04966
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢野 均 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (00166563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多目的双行列ゲーム / ファジィ数 / ファジィランダム変数 / 基準メンバシップ値 / 制約法 / ファジィ決定 / 対話型手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファジィ利得行列を持つ双行列ゲームに対して、可能性測度を用いて可能性測度空間上における均衡解概念を導入し、均衡解を導出するアルゴリズムを提案した。 ファジィランダム変数を要素とする利得行列を持つ多目的双行列ゲームに対しては、以下の3種類のアプローチを提案した。 第1に、二人のプレイヤーが各目的関数(期待利得)に対してファジィ決定を採用する場合に対して、可能性測度に基づく均衡解概念と必然性測度に基づく均衡解概念を定義し、これらの均衡解を導出するためのアルゴリズムを提案した。残念ながら、この手法では、各プレイヤーの多目的関数に対する選好構造がファジィ決定で表されるという、厳しい制約が存在する。そこで、第2のアプローチとして、各プレイヤーが各目的関数(期待利得)に対して基準メンバシップ値を主観的に設定し、基準メンバシップ値をパラメータとする均衡解概念を初めて導入した。各プレイヤーが設定した基準メンバシップ値にミニマックスの意味で近い均衡解を導出するためのアルゴリズムを提案し、さらに、一方のプレイヤーの立場に立って、相手プレイヤーの基準メンバシップ値を推定した場合の均衡解集合の中から満足解を導出するための対話型意思決定手法を提案した。さらに、第3のアプローチとして、各プレイヤーが1個以外の目的関数(期待利得)に対して「ある値以上にしたい」という制約の下限値を設定する制約法を採用した場合に対して、制約の下限値をパラメータとする均衡解概念を初めて導入した。各プレイヤーが設定した制約の下限値をパラメータとする均衡解を導出するためのアルゴリズムを提案し、さらに、一方のプレイヤーの立場に立って、相手プレイヤーの制約の下限値を推定した場合の均衡解集合の中から満足解を導出するための対話型意思決定手法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多目的ファジィランダム双行列ゲームに関する研究については、関係論文が順調にアクセプトされており、問題ない。 一方、双行列の各要素がファジィ数で表される、ファジィ双行列ゲームについては、関係論文が1本アクセプトされたが、多目的ファジィ双行列ゲームに関する研究については次年度の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ファジィ双行列ゲームや多目的双行列ゲームに関する研究は種々行われてきているが、多目的ファジィ双行列ゲームに関する研究、特に、可能性測度・必然性測度に基づく多目的ファジィ双行列ゲームに関する研究は、これまで全く行われていなかった。その理由の一つは、可能性測度・必然性測度に基づく均衡解を導出するための最適化問題を解くことが、数値計算上極めて困難であることによると思われる。そこで、次年度では、多目的ファジィ双行列ゲームに対して、制約法や基準点法のスカラー化手法を用いて、パラメトリックな均衡解概念を導入し、均衡解集合の中から、一方のプレイヤーの立場から見た満足解を導出するための対話型意思決定手法の開発を目標とする。
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Causes of Carryover |
投稿中の論文が次年度にアクセプトされた場合の掲載料、および、海外出版社に出版予定の編著書の掲載料を見込んでいる。
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Research Products
(5 results)