2021 Fiscal Year Research-status Report
Challenges within Closed-Loop Supply Chains: Conflict between Sustainability and System-wide Cost
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20K04971
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
細田 高道 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (50570123)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サプライチェーン / 持続的社会 / 循環型サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画において令和3年度は数理モデルをさらに発展させる期間であった。この点においては若干の遅れはあるものの予定通り進めることができた。コロナの影響により海外の研究協力者との会議はオンラインとせざるを得ず、また研究協力者の罹患が判明するなど、予定通りに進めることに困難が伴った年度ではあった。 令和2年度の成果であるコストのモデルが当初予定したものと比べてより高度なモデルとすることができたことは既に報告済みである。このコストモデルの特徴を詳細に分析し、循環型サプライチェーンにおけるパラドックスの存在を示したことが今年度の最も大きな成果であると思われる。このパラドックスの存在はある程度の想定はされていたが、数学的な裏付けをもってその存在を示したことに大きな貢献があったと考えている。 これまでの多くの研究では、使用済み製品を回収し再生する量を増加させると、循環型サプライチェーン全体のコストは下がるという結論が出されていた。コストが下がる理由の主な原因は、例えば回収量が多いときは需要量も多くなるという、回収量と需要量に正の相関があるという前提条件に基づいている。この事実をまず指摘をし、相互に相関が無い場合あるいは負の相関の場合も検討可能な、より一般的なモデルを構築した上で、先のパラドックスについて研究を進めた。結論として、コスト関数は回収再生量に対して必ず下に凸となる形状をもつことを示し、その事から回収再生量を増加させた場合にはコストは下がる場合もあれば上昇する場合もあることを数学的に示すことができた。 この成果は International Journal of Production Economics から出版された。 国際学会等での研究発表活動については実施することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、十分な研究討議ができないままにモデル構築等を進めるしかなかった。国際学会への参加および発表は1件もすることができず、多くの研究者との討議をすることは不可能であった。幸い、研究論文は International Journal of Production Economics から出版することができたので、最低限の成果を出すことはできたと考えている。 しかしながら、もし国際学会に参加でき研究討議ができていたら、と思う部分もある。おそらく、モデル構築において有意義な示唆を多く得ることができ、結果としてよりよい内容の論文とすることができたのではないかと想像している。また、本研究の成果をより多くの人々に知ってもらうこともできたのではないかとも考える。 よって、進捗状況としては「遅れている」とすることが妥当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の遅れを取り戻せるよう、これまで通り理論面の研究は進めると同時に、より積極的に国際学会への参加および発表を実施していく計画とする。 国際学会に多く参加することで最新の研究に関する情報をできるだけ集め、さらに研究討議にも参加することで、これまでの我々の研究成果や内容を広く知ってもらい、同時にフィードバックをもらうことで見直すべき部分は見直し、研究をさらに進めていく。 その上で、理論面の研究をより汎用性の高いものとし、学術誌からの出版を目標として研究協力者とともに研究を進めていくこととする。
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Causes of Carryover |
初年度より新型コロナウィルス感染症拡大の影響により国内外での移動が大きく制限されたことにより研究活動の範囲が著しく制限されていた。その結果、特に国際学会への参加がこの2年間、不可能となったことが主な理由である。翌年度においては、まだ新型コロナウィルス感染症拡大による制約は多少あるものの、積極的に国際学会へ参加していく予定。
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