2021 Fiscal Year Research-status Report
The relation between the diversity in traders' price forecasts and the market behavior
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20K04979
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会システム / シミュレーション / 被験者実験 / 人工市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスへの対応のため、実験室における被験者実験でなく、オンラインで同時参加の取引ゲームを行う実験環境を整え、実験研究を行った。金融資産市場における投資家の行動様式を検証するため、近視眼的損失回避とプロスペクト理論に関する被験者実験を主に実施し、大部分のデータの収集はほぼ完了した。近視眼的損失回避は、株式市場が他の資産に比べて異常に高い株式プレミアムを持つのは何故かという「株式プレミアムの謎(Mehra and Prescott, 1985)」に対する解答として BenartziとThaler(1995)によって導入された概念である。実験では、有限期の賭けを行うが、(a)毎回投資して結果もその都度表示される場合/数回まとめて投資して結果もまとめて表示される時、(b)初期配分がゼロでその後のゲームで資産が増える/初期配分が多くてその後のゲームで資産が減る/中程度の初期資産でゲームによる資産の増減も中程度、のように2x3=6通りの処置を仮定した。ただし、6つの処置の間で被験者の期待利得は同じとした。合理的な経済主体と異なり、人間としての投資家は確率を誤って解釈したり進化の観点からは有用でも投資には有害な感情的反応を行うことがあり、近視眼的損失回避とプロスペクト理論もその一部である。現時点で得られたデータは分析中だが、大まかには近視眼的損失回避とプロスペクト理論の双方とある程度整合的であることを既に確認している。シミュレーション研究に関しては、金融市場における定型化された事実の多くが自己組織化される人工市場モデルを構築した。この結果は Physica Aに掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染拡大によって実験室での被験者実験の遂行が困難になったが、オンラインでの実験環境を整備し、近視眼的損失回避・プロスペクト理論に関する実験のデータの収集ができた。また、人工市場に関するシミュレーション研究は査読付国際学術誌に採録されている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和三年度に実施した、近視眼的損失回避&プロスペクト理論に関する被験者実験研究の結果をまとめて学術誌に投稿する。また、オンラインで同時参加の取引ゲームの継続的実施を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大により、実験室での被験者実験の遂行、および、国内外の出張が困難になった。実験自体はコロナ対応でオンライン実験がすでに始動しており、令和四年度は、実験の遂行の本格化、および成果の発表を行う。
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