2020 Fiscal Year Research-status Report
3D荷物の配置を考慮した配送計画問題に対する研究とその応用
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20K04983
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
胡 艶楠 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 講師 (00778326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / 配置問題 / バスルーティング問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,荷物を配送する際に車両内での荷物配置を考慮する配送計画問題と取り出し順序を考慮する配置問題に対する解法を開発する.個別に研究されていた配送計画問題と配置問題の知見を用いて,それぞれの問題に対して,現実の制約を考慮する高性能な解法を開発する.そして,車両の荷台での荷物の配置も考慮した配送計画問題に対して高性能な解法の設計を行い,それを応用して実務にも適用可能になるよう解法の拡張を検討する. 今年度は,まず2次元図形配置問題に対する研究成果の知見を利用して,ギロチンカットおよび順序制約を考慮する2次元ビンパッキング問題を考える.本研究では,スライス木を用いて解を表現する.スライス木の構造は他の様々な制約を扱うことができ,それらの制約を考慮した上でもスライス木を深さ優先探索で辿ることで,最適な配置が効率的に求められることを示す.また,5つの近傍操作と目的関数固定法を用いた反復局所探索法を提案する. 次は,配送計画問題に対する研究成果の知見を利用して,最遅到着時刻制約付き通勤バスルーティング問題を考える.本研究では,通勤バスルーティング問題に対する反復局所探索法を提案する.提案手法ではset-del/1-ins とVRP-OPT*という2 種類の近傍操作に基づく局所探索法を用いる.set-del/1-ins の探索では,評価関数として各客の被覆されにくさを考慮したペナルティ付き評価関数を用いることで効率的に探索を行う.さらに各客に与えられるペナルティ重みを適応的に変化させ,探索する解に多様性を持たせる. また,その結果生じる探索のサイクリングを抑制するため,タブーリストを導入する.さらに探索を効率化するため, VRP-OPT*の適用を一部制限する手法を組み込んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定とおり,順序制約を考慮する2次元ビンパッキングと時間制約付きルーティング問題に対する研究を行った.まず,ギロチンカットおよび順序制約を考慮する2次元ビンパッキング問題に対して,探索型解法を提案した.解表現にスライス木を用いて,様々な制約を扱うことができた.5つの近傍操作と目的関数固定法を用いた反復局所探索法を提案する.提案手法と先行研究の手法の比較実験と,提案手法と先行研究の手法を組み合わせた計算実験を行った. 計算実験より, 母材に対して配置する長方形のサイズが細かく,順序制約が緩い問題例に対して提案手法がより良い解を得ること,および先行研究と提案手法を組み合わせることでより良い解が得られることを確認した. また,最遅到着時刻制約付き通勤バスルーティング問題に対する反復局所探索法を提案した.提案手法ではset-del/1-ins とVRP-OPT*という2 種類の近傍操作に基づく局所探索法を用いた.解に多様性を持たせるため,set-del/1-ins の探索では,重みを適応的に変化できるペナルティ付き評価関数を用いることで効率的に探索を行った.さらに,探索のサイクリングを抑制するため,タブーリストを導入した. VRP-OPT*の適用を一部制限する手法を組み込んでいることで,探索を効率化できた.計算実験により,タブーリストおよびVRP-OPT*の適用制限の効果と提案した近傍操作の有効性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
これから,以下の3点で研究進める. a. 荷物を下ろす順番を考慮する配置問題に対する研究を行う.車両への荷物の配置は荷下ろしの手間のみを考えれば,スタックの状態,つまり最後に載せた荷物の客を最初に訪問する,という配置が望ましい.しかし,車両の荷台という限られたスペースに荷物を全て載せるには,そのような順序にはできない場合が通常であり、荷下ろしのコストと配置効率のトレードオフを最適化する問題となる.配置問題としては荷物の形状や,積載方法の制約や荷台での重心の考慮など,様々な条件が考えられる.本研究では現実的なモデル(荷物の底面(2D Bin Packing),直方体の荷物(3D Container Loading))について順番にその複雑度を解明するとともに高性能な解法を提案する. b. スタック型の車両に対する配送計画問題に対する研究を行う.配送計画問題には時間枠付きなどのいくつかの典型的なモデルがある.それらについてスタック型の荷台のモデルを考え,問題構造の解明と解法の設計を行う.まずは,解(巡回路と配置)の評価関数(その解を採用した時にかかる巡回路の距離と配置により発生するコスト)を設計し,その効率的な計算方法を提案する.解の評価値を計算することができれば,近傍探索を実行でき,局所探索法が可能となる.また,近傍探索において,現在の解の情報を使った近傍解の評価値の高速な計算法を検討する. c. 配置を考慮する配送計画問題に対する探索型解法を設計する.(a)と(b)で考案したモデルを部分問題として交互に解くことで配置を考慮した配送計画モデルに対する解法を設計する.二つの解法を組み合わせる際には,計算機実験の結果を分析し,お互いの性質を利用することで,高性能な解法に拡張する.
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で,予定した出張や研究協力者への謝金などを使用しませんでした.なお,購入予定の計算機などの物品も納期が長いため,キャンセルしました. 今年度は専門書と高性能の計算機を購入する予定です.また,研究協力者などに知識提供において多大な労力をおかけした時に謝金を支払います.
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Research Products
(7 results)