2022 Fiscal Year Annual Research Report
船舶衝突事故における「新たな衝突のおそれ」の問題について
Project/Area Number |
20K04984
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤本 昌志 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (70314515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 知久 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 教授 (30559240)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 船舶衝突 / 海上衝突予防法 / 衝突のおそれ / 無難に航過する / 新たな衝突のおそれ / 船員の常務 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、海上交通法域の規定の意図的に曖昧にされている部分を明らかにし、来るべき自律運航船舶の出現に備え、海上交通の安全に資することである。 2022年度は、2021年度に実施した操船シミュレータ実験から得られたデータから「衝突回避動作時期」、「距離」等を抽出し、海上交通法域の規定の意図的に曖昧にされている部分を明らかにすることを試みた。 しかし、結果としては、避航操船のパターン化は困難であった。大きな理由としては、避航動作を決定する際の操船に、船員個人の経験や性格が大きく影響していることが挙げられる。また、周囲の他船の輻輳状況、他船の船種、水域の広狭、自船の操縦性能や喫水など、操船者が考慮する事項はある程度統一できても、その中の優先度は操船者によりさまざまであった。他船を避航しなくてはならない場面において、一つの判断が正解ということはなく、操船者それぞれが有効であると考えて操船を行っているものと思慮される。 今後は、更に様々な被験者の操船傾向を分析することで、法の曖昧にされている部分の明確化を図ると共に、明確化が困難である場合、どのように法を整備していくのか、検討していく必要がある。 研究結果は日本航海学会英語論文集に投稿しThe Transaction of Navigation vol.8, No.1に掲載されている。
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