2020 Fiscal Year Research-status Report
瀬戸内海島嶼部における地上デジタル放送難視聴地域のための伝送方式の研究
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20K04994
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
佐藤 正知 広島商船高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (50453949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地上デジタル放送 / 時空間符号化 / 中継局協調送信 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、簡易的な測定装置(20素子の八木宇田アンテナを2つ、水平偏波と垂直偏波にそれぞれ対応するようアンテナ高6m, 5.5mの位置に配置し、手元の切替器で受信アンテナを選択してディジタルレベルチェッカー(マスプロ社製 LCT5)に入力)を作成した。次に、大崎上島の各所(広島商船高専近辺,神峰山山頂周辺,木江港周辺)において、地上ディジタルテレビ放送の伝搬環境(地上ディジタルテレビ放送に使用される13~52chの水平・垂直の偏波別の遅延プロファイル、伝搬強度、到来方向及び通信品質)を測定した。その中で、大崎上島の西部海岸沿いで愛媛県大三島に近い木江港付近において、広島県の中継局である竹原中継局(神峰山山頂)と愛媛県の中継局である大三島中継局の出力する電波を共に受信できることが分かった。また、竹原局の遅延プロファイル測定より、128マイクロ秒のガードインターバル内であるものの、60マイクロ秒程度と遅延量の大きいマルチパスが確認された。これは先行して到来する電波に比べて18km程度長い経路を伝わっていることから、竹原局から出力される電波が大三島で反射、大崎上島で再反射したものが受信されていると推測することができる。これらの結果より、瀬戸内海島嶼部では遅延量の大きいマルチパスが発生しやすい環境であり、電波の届かない難視聴地域の他にもマルチパス波がガードインターバルを超えることで生じるゴースト歪みが生じる地域が存在すると推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染症の影響で実験を補佐する学生が不在であったため、予定していたすべての場所での測定実験が実施できなかった。同様に、練習船による航海実習も中止になったため、便乗して行う予定だった海域での測定を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
広島商船高専から鹿児島高専への配置換えに伴って瀬戸内海での測定回数が減少するが、夏季や冬季の学生の長期休暇を利用して集中して必要な測定を実施する。また、瀬戸内海と同様の伝搬環境として、鹿児島県と熊本県、長崎県の3県にまたがっている天草諸島において、予備測定の実施を検討している。測定と並行して伝搬環境をモデル化し、中継局間の協調送信のシミュレーションを実施する。
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Causes of Carryover |
初年度の測定がコロナウイルス感染症の影響で計画通りに実施できないことが判明したため、当初購入予定であった電界強度計など物品の購入を1年間見送った。また、想定していた成果が上がらず、外部発表ができなかったこと、学会が中止になったことによって旅費も不使用であった。今年度は初年度分も含めて物品を揃え、学会に参加することや瀬戸内地方に測定のフィールドワークに要する旅費に充てることで当初の予定金額を使用する予定である。
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