2020 Fiscal Year Research-status Report
情報・統計技術を活用した、試験・検査の信頼性を保証する新規計量管理システムの開発
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20K04997
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
城野 克広 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60509800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / スマートコントラクト / 測定の不確かさ / 適合性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度、本研究では、ルールに則った試験・検査が実現されているかという『手続き的な信頼性』の課題について、ブロックチェーン上に測定データ及び測定に関連するデータをハッシュ化したものを登録し、インターネット上で分散管理することで、改ざんを防ぎ、その正当性を確認することができる方法及びシステムについて特許出願した。(特願2021-052208 情報処理方法及び情報処理システム)本発明では、測定データ及び測定に関連するデータが、特定の測定器で取得されたことや、測定されたアイテムの性能などがある基準を満たしていることをブロックチェーン上で検証する。ただし、検証はブロックチェーン上のスマートコントラクトとして自動的に実行するために、データそのものを検証者に閲覧させる必要がない。この発明は、実務的な水準で、検証者によるデータの閲覧を防ぐための暗号化の手段に関するものであり、測定情報の客観性と秘匿性を両立することに役立つ。検証者はデータの取り扱いによる負担を低減しつつ、測定データ及び測定に関連するデータに基づく信頼性に関するアプリケーションを開発することができる。 また、測定のずれの小ささが測定の目的に照らして十分なものかという『技術的な信頼性』について、2020年度は理論的な研究を進めた。単なる不良率のような指標ではなく、仮想的に利潤と見なせるような関数を指標として取り入れ、それを最大化するように試験・検査基準を設定する研究を行った。予定していた通り、系統効果を考慮しない場合について整理を進め、2021年度にオンライン開催される国際会議にて発表する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つの目の課題である『手続き的な信頼性』の構築について、当初計画では2020年度には、測定情報をハッシュ化したものをブロックチェーン上に登録し、利害関係者が参照可能なシステムを構築するとしていた。その設計をおおよそ終え、簡単なデモンストレーションを実施し、実際にブロックチェーン上からハッシュデータを確認できるシステムを構築した。さらに、開発した技術について特許出願を行った。このことから、おおむね順調に進展している、または当初の計画以上の成果をあげていると言える。 二つ目の課題である『技術的な信頼性』の構築について、当初計画では、2020年度から2021年度にかけて、偶然効果が支配的な要因の場合についての議論を整理し発表などを行いつつ、既知の系統効果がゼロである場合について取り組むとしていた。2020年度は偶然効果が支配的な要因の場合について、数学的表現の整理を実施し、その結果を国際会議で発表する予定である。2021年度においては、国際会議や論文での発表に向けて準備を進める予定である。これらのことから、おおむね順調に進展していると言える。 総合的にはおおむね順調に進展していると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、一つの目の課題である『手続き的な信頼性』の構築については特許出願を行った。2021年度は、学術的な評価を受けるべく、学会や論文にて発表することを念頭に成果を整理する。2022年度に発表することを念頭に研究を進める。また、これまでのデモンストレーションは非常に小さいスケールのものであった。より広範な応用を目指して高度な計算が可能な計算サーバを購入し、簡単なデモンストレーションを実装し、2022年度以降の発展的研究に備える。 もう一つの課題である『技術的な信頼性』の構築については、8月及び9月に渡って開催される学会に申し込み、成果の一部を発表する予定。発表に前後して、ここまでの成果を整理し直し、論文の形で発表するための準備をすることが2021年度の大きな目標である。 2020年度には、一つの目の『手続き的な信頼性』の構築に注力したが、2021年度は『技術的な信頼性』の構築に注力し、成果を上げていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議がCovid-19の感染拡大のため中止になり、予定していた渡航費を使用できなくなった。繰り越した費用は、今後、計算サーバの質的あるいは量的な拡充や、当初予定になかった英文校閲や論文のオープン化などの成果発表のための資金として用いることを考えている。
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Research Products
(1 results)