2020 Fiscal Year Research-status Report
心電図から疑わしい心疾患への絞り込みを可能にする自動識別システムの開発
Project/Area Number |
20K04999
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 吉史 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00443177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心電図 / 心疾患 / 識別 / 畳み込みオートエンコーダ / k-NN法 / サポートベクトルマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心電図データを用いて多種類の心疾患から疑わしい心疾患を自動推定するシステムを開発することである。心疾患の心電図は、ピーク信号を含む基本波形(ビート)が繰り返されるものと、ビートが観察されないものの2つに大別できる。2020年度は、ビートを含む心電図を対象とした心疾患識別手法の開発および性能評価を行った。本研究では、心電図においてビートが観察される心疾患を、1)ビートの波形形状に異常が見られる心疾患と、2)ビートの出現間隔に異常が見られる心疾患、の2つに分けて識別手法の開発が行われた。以下に、その成果をまとめる。 1)ビートの波形形状に異常が見られる心疾患の識別: 公共の心電図データベースから、正常な心電図データおよび7種類の心疾患の心電図データ(計8クラス)を収集し、手作業でビートの切り出しを行った。得られたビートの特徴を学習するため、畳み込みオートエンコーダ(以下、CAE)とk-NN法に基づく識別モデル(以下、波形モデル)を構築した。このモデルを用いて識別実験を行った結果、94.6%の適合率、98.5%の再現率で8つのクラスを識別できることがわかった。 2)ビートの出現間隔に異常が見られる心疾患の識別: 公共の心電図データベースから、正常な心電図データおよび2種類の不整脈の心電図データ(計3クラス)を収集した。これらの心電図データからビートの出現間隔の度数分布を生成し、これをサポートベクトルマシンで学習した識別モデル(以下、出現間隔モデル)を構築した。このモデルを用いて識別実験を行った結果、適合率、再現率ともに70%程度の精度で3つのクラスを識別できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の目標は、1)ビートの波形形状に異常を有する心疾患、2)ビートの出現間隔に異常を有する心疾患、3)これらの両方の異常を有する心疾患、を識別する手法を開発することであった。1)および2)については既に識別モデルの構築と性能評価が実施された。しかし、3)については未着手であるため、2021年度に持ち越して研究を進める予定である。また、2)を識別するために開発した出現間隔モデルは、現段階では識別精度が70%程度と実用的に高いスコアとは言い難いため、さらなる改善が必要である。以上より、本申請の現在の達成度は、「やや遅れている」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
心室細動や心室頻拍のようなビートが観察されない心電図は、蘇生措置が必要な極めて危険な状態を示している。 2021年度は、ビートが観察されない心疾患の識別手法を開発する。本研究では、画像認識分野で成功をおさめている畳み込みニューラルネットワークに基づく識別モデルの構築および性能評価を行っていく。加えて、前年度の研究で課題となった出現間隔モデルの改良、および波形形状と出現間隔の両方で異常を示す心疾患の識別手法の開発を行う。
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