2021 Fiscal Year Research-status Report
心電図から疑わしい心疾患への絞り込みを可能にする自動識別システムの開発
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20K04999
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 吉史 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00443177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心疾患 / 識別モデル / 畳み込みニューラルネットワーク / サポートベクトルマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は3つの課題について研究を進めてきた。以下にその成果をまとめる。 1)ビート間隔異常を示す心疾患識別モデルの改良: 前年度の方法では心電図のRR間隔の頻度分布をサポートベクトルマシンで学習した識別モデルを採用していた。しかしながら、このモデルは頻度分布の形状が似た異なる心疾患をうまく識別できず、適合率、再現率ともに70%程度の精度に留まっていた。そこで、今年度は頻度分布の形状を表す16種類の統計量を用いてモデルの再構築を行った。このモデルを用いた識別実験の結果、適合率を93%程度、再現率を78%程度まで向上させることに成功した。 2)ビートを含む不整脈の識別モデルの構築: まず、公共の心電図データベースから、7種類(7クラス)の不整脈の心電図データを収集した。次に、それぞれの心電図の先頭からウィンドウをずらしながらRピークの区間画像(RR間隔画像)を切り出した。これらのRR間隔画像を畳み込みニューラルネットワークで学習し、7クラスの不整脈を識別するモデルを構築した。このモデルを用いた識別実験の結果、98.5%の精度で7クラスを識別できることがわかった。 3)ビートが観察されない心疾患の識別モデルの構築: まず、公共の心電図データベースから、5種類(5クラス)の心疾患の心電図データを収集した。次に、それぞれの心電図を先頭からウィンドウをずらしながら心電図画像の切り出しを行った。これらの画像を畳み込みニューラルネットワークで学習し、5クラスの心疾患を識別するモデルを構築した。このモデルを用いた識別実験の結果、先行研究のベストスコアである98.6%を上回る99.9%の識別精度を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の目標は、1)ビート間隔異常を示す心疾患識別モデルの改良、2)ビートを含む不整脈の識別モデルの構築、3)ビートが観察されない心疾患の識別モデルの構築、を行うことであった。1)については前年度の課題であった識別精度の向上に成功した。2)については、最先端の既存研究と同程度の識別精度を達成することができた。3)については、既存研究における識別精度のベストスコアを上回る識別モデルを構築できた。以上より、本申請の現在の達成度は「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発するシステムはビートの有無により使用する識別モデルを決定するため、高精度なビート検出手法が必要とされる。2022年度は、正常/異常なビートを高精度で検出するモデルの開発を行う。また、これまでに構築してきたモデルを統合した心疾患自動推定システムを構築し、システム全体としての総合的な性能評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度に本課題の直接経費で購入したワークステーションが故障し、その修理費用に充てる予定であったが、2021年度中に修理が完了しなかったため、2022年度に繰り越すこととした。
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