2022 Fiscal Year Annual Research Report
心電図から疑わしい心疾患への絞り込みを可能にする自動識別システムの開発
Project/Area Number |
20K04999
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 吉史 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00443177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心電図 / ビート / 畳み込みオートエンコーダ / k-NN法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は心電図に基づく心疾患識別モデルのさらなる精度向上を目的として、以下の2つの課題について研究を進めてきた。 1)波形異常を示す心疾患の識別モデルの精度向上:前年度までの研究では、畳み込みオートエンコーダ(以下CAE)とk-NN法に基づく識別モデルを採用してきた。しかしながら、この方法では、訓練データとなるビートの抽出は手作業により行われており、それらの収集に膨大な時間を要していた。また、抽出された各ビートは時間軸に沿って正確にRピークを揃えなければならないという制約があった。そこで今年度は、既存モデルに対してビート自動検出機能(後述)を導入し、さらに2次元のビート画像を学習するための機構を新たに実装した。これにより、ビート収集が効率化されたことで訓練データの大幅な増量が可能となった。また、ビート画像を採用することで2次元畳み込みが可能となり、ビートのズレを許容した識別モデルの構築が実現された。心疾患の識別実験により、手作業で得られた厳密な訓練データを必要とする既存モデルと比較して、開発モデルは同等の識別精度を示すことがわかった。 2)正常/異常ビートの自動検出手法の開発:健常者の心電図における正常ビートは規則的な波形を示すため比較的検出が容易である。一方、心疾患患者の心電図における異常ビートは心疾患によって形状が異なるだけでなく、ピークが不明瞭なケースもあるため、正常ビートと比較して抽出が難しい。そこで、正常ビートと異常ビートの形状を学習したCAEベースのビート検出モデルを構築した。これにより、正常/異常ビートともに80%以上の精度で検出可能となった。
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