2021 Fiscal Year Research-status Report
数理モデルに基づいた電磁気特性や初期状態の電磁気特性に依存しない損傷評価法の構築
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20K05000
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
程 衛英 東北大学, 工学研究科, 講師 (40739661)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 渦電流 / 抵抗測定 / インピーダンス測定 / 相互インピーダンス測定 / 厚さ測定 / コイル鉄心 / 電磁気測定 / 強磁性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
強磁性鋼板の板厚測定・評価と強磁性鉄鋼配管の肉厚や減肉の非破壊検査・評価法を構築した。 導電率変化による影響が小さい数Hzにおける強磁性鋼板の板厚測定・評価法の構築。数Hzの低周波を使うことによって、電磁場が高透磁率・高導電率である鋼板の板厚全体に浸透でき、かつ鋼板に誘起した渦電流による抵抗変化が極めて小さく、被検体の導電率変化による影響をほぼ無視可能である。被検鋼板上に配置される二個の同芯コイルを和動と差動で接続させ、それぞれの接続におけるインピーダンスを測定し、それらの差分にコイル自身の抵抗が完全に除から、二つのコイルにおけるマルチインダクタンスが求められた。鋼板は二つの同芯コイルの鉄心に相当しており、鋼板が厚いほど、マルチインダクタンスは大きい。このマルチインダクタンスと板厚の相関を用いることによって板厚を評価する。また、数Hzの帯域において、周波数変動によるマルチインダクタンスの変化が少ない、複数の周波数の信号を使うことによって、評価の信頼性が高まる。 磁気特性の影響を軽減可能な数十Hzにおける強磁性配管やパイプの肉厚測定・評価法の確立。全く同じ二つの貫通コイルを用いて外径が一定である鋼管の肉厚測定・評価法を構築した。電磁場が板厚方向にほぼ均一に分布しているシックスキンの条件を満たす場合に渦電流損失による抵抗R_acはほぼ周波数の二乗と導電率に比例している。渦電流による固有抵抗R_ac/ω^2が磁気特性に影響されず、周波数変化による影響も小さい。また、二つのコイルを和動と差動接続させ、和動と差動インピーダンスの差分である差分インピーダンスdZの成分とした差分抵抗dRにコイル自身の抵抗が含まれない。固有抵抗と固有インダクタンスと肉厚の相関により肉厚を評価した。よって、磁気特性変化による影響が低減した固有抵抗と固有インダクタンスを用いた肉厚測定・評価法を構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欠陥や減肉などの‘幾何寸法上の損傷’の検出・評価はほぼ計画通りに進んでいる。 初年度(2020~2021)は非磁性である材料を対象に導電性二層積層の層ごとの厚さ測定・評価法を構築できた。また、材質や劣化評価に必要な高感度な導電率の測定・評価法構築した。 次年度(2021~2022)では、強磁性鋼板の厚さ測定・評価と鋼管の肉厚測定・評価を取り込み、導電率変化による影響が極めて小さい数Hzにおける板厚測定・評価法を確立できた。また、磁気特性変化(透磁率と残留磁化)の影響が低減した数十Hzにおける配管の肉厚測定・評価法を構築した。 材質や劣化評価においては、計画外の高感度な導電率や導電率変化を測定・評価することを取り入れたため、磁気特性の測定・評価は計画より遅れている。また、新型コロナ感染拡大に伴って移動制限などの影響を受け、新たな試験片の作成と磁気特性測定が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はほぼ計画通りに推進すると予定している。最終目標を念頭に、研究中に得られた知見や社会情勢を踏まえ、柔軟に修正・対応することも考えている。 本研究では、材料の電磁気特性変化の影響が低減できる欠陥や減肉のようなや損傷の寸法同定、また、初期状態の電磁気特性に依存しない電磁気特性変化による劣化評価を目標としている。電磁気特性のような材料固有因子に影響されない損傷寸法同定において、変化させられる計測条件(例えば、周波数)を変化させ、スペクトルにより共通の’不変‘な電磁気特性を取り除く方策を立てた。すなわち、一定帯域内に周波数掃引を行い、スペクトル解析により電磁気特性に依存しない寸法評価法を構築する。これからは研究対象(肉厚や欠陥、非磁性や強磁性など)に適した信号処理や数学モデリング方法を加え、各周波数領域の信号の特徴量を用いた寸法評価法を構築していく。 材料劣化評価においては、まず、所有の磁気特性データを分析し、劣化によって変化しない成分と変化する成分を見極め、変化する成分を抽出・モデリングする。また、昨年度開発した高感度な導電率測定法を用いて導電率を取得し、導電率変化と劣化度の相関を求める。よって、劣化の電気・磁気特性変化モデルを構築する。更に、現場や実機に適用できる非破壊電磁気計測法を開発する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、試験片の作成と材料特性の取得(測定)に遅延が生じ、次年度に研究を加速させ、その遅延を取り戻す予定である。 また、移動制限によって、出張が取り消す、多数の学会もOn-Lineで開催されました。次年度に正常に戻すことを期待している。
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