2022 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定過程の異質性を想定した避難行動とその備えの統合的行動モデルの開発
Project/Area Number |
20K05006
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 護 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60539550)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 避難行動 / 避難の備え / 豪雨 / 台風 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,避難の備えと避難行動の関係性を平成30年7月豪雨,令和元年台風第19号,令和2年7月豪雨の事例を通じて検証を行った。結果として、平成30年7月豪雨及び令和元年台風第19号の事例ではどちらも、指定避難所の確認が立退き避難に寄与していた一方で,家族内の連絡先の確保は屋内安全確保に寄与していた。また、平成30年7月豪雨のときのみ,指定緊急避難場所までの実際の道のり確認が立退き避難に寄与していたことを明らかにした。また,明け方に発生した令和2年7月豪雨では、居住地の浸水深の認識と指定緊急避難場所までの実際の道のりの確認が早期の立退き避難に寄与したいたことを明らかにした。豪雨時と台風時で効果に差のある避難の備えもあったが、指定緊急避難場所までの実際の道のりの確認は、この3事例に共通して立退き避難に寄与しており、立退き避難を促す有効な避難の備えであることを明らかとした。 研究期間全体を通じては、種々の情報や避難の備えが豪雨・台風時の避難行動の意思決定過程に及ぼす影響について検討した。豪雨状況下においては、避難を促す情報の種類によって避難行動の意思決定過程が異なることを明らかにした点は本研究の成果である。その上で、豪雨災害時には、種々の呼びかけ情報が住民の立退き避難に大きく寄与していた。また、豪雨、台風どちらにおいても、指定緊急避難場所までの実際の道のりの確認が立退き避難を促す有効な避難の備えであった。これらの知見は、今後の避難促進施策を検討する上で有用な知見であり、本研究で得られた成果である。
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